算数:子どもたちが「問題を理解できず、不安そうだな」と感じたとき、ペア学習の効果は絶大
私は授業中に「お隣の人と相談してごらんなさい」と言って、ペア学習することがあります。
このペア学習の効果は絶大です。算数科の特徴として、間違うのではないかと、子どもたちは常に緊張状態にあります。ペア学習は、この不安を取り除く効果があります。
子どもたちが「問題を理解できていないな」「自信がなさそうだな」「不安そうだな」と感じたときはペア学習を取り入れるのです。「わからないのは私だけじゃない」ことを知り、子どもたちは安心することができるからです。
また、理解した子どもの説明する声が、ヒントとなり、その周りの子どもの理解が広がるのです。私が「いいですか、大事な話をしますよ」と言うのとは比べものにならないほど、わからない子は理解しようと真剣に情報を集めようとしています。
このように、私はわかっている子どもが少ない状況では、ペア学習を何度か繰り返しながら、理解を上げていくようにしています。
ペア学習には、発表前の緊張を和らげる効果もあります。人の前で発表するのは、緊張するものです。「これから発表してもらいます」と教師が言うと「えーっ」という声が聞こえることがありませんか。子どもたちは発表に対して少なからず抵抗感を持っています。
こんなときは「発表前に、お隣さんと発表の練習をしてごらん」と言うだけでよいのです。
また、ペア学習には、わかったようなつもりになっていることを、お隣さんに向かって話すことで理解の程度を確認できるのです。
つまり、きちんと理解していることは、お隣さんにもきちんと話せます。しかし、正しく理解していないで、わかったつもりになっていたことは、途中で言葉につまったり、堂々巡りして前に進めなかったりします。このペア学習で、子どもたちは自分の理解度を客観的に見ることができます。
あるいは、話したくて我慢ができない子が「ハイ!ハイ!」と手を挙げているときに、お隣さんと話すことで満足するという効果もあります。
(熊谷 純:1967年青森県生まれ、青森県公立小学校教師。基幹学力研究会・算数授業ICT研究会・全国算数授業研究会幹事)
| 固定リンク
「授業のさまざまな方法」カテゴリの記事
- 創造的な学びで、社会に求められている自立型人間を育成する 伊藤邦人(2021.07.25)
- グループ学習の代表的な手法 町田守弘(2021.03.19)
- どのような子どもでも取り組めるワーク作りとは(2021.02.17)
- かならず成功する「本の読みきかせ」の方法とは(2021.02.07)
- 子どもとともにつくる授業をするために必要なこととその例(2021.01.28)
「算数・数学科の授業」カテゴリの記事
- 数学科:私にとって数学の授業とは何か 玉置 崇(2021.08.15)
- 算数:解き方を友だち同士で説明し筋道を立てて考える力をつける 間嶋 哲(2021.07.29)
- 子どもたちの「算数のつまずき」に、教師はどう支援すればよいか(2020.11.12)
- 算数:「○○してみたい」によって授業が成立する(2014.12.27)
- 算数科:子どもの言葉を生かし、子どもと共に算数の授業を創る(2014.12.27)
コメント