授業の荒れさせないようにするには、どのようにすればよいか
学級のボスのAが私の頬にあるホクロのことをさして「ホクロ」と私が聞こえるように叫んだ。私が無視をすればするほど大きな声で叫んだ。「授業に関係のないことは言わないでください」と言うと、「俺じゃないよなー」と仲間に同意を求める。「また、俺のせいにした、むかつく」と大騒ぎをする。Aが文句を言い続けるので、私も頭に血が上がり、授業を中断して言い合いとなった。そのときは、「なんとかしたい」思いで必死だった。しかし、相手はケンカのプロ。同じ土俵に上がった私が負けてしまった。授業は崩れていった。一生懸命だけではどうにもならない日々を過ごしていた。
サークルに参加するようになり、自分の失敗の原因を仲間の教師から教えてもらい始めた。少しずつ自分なりに努力の方向がつかめるようになってきた。もっともハッと気づいたことは「まじめに授業を受けようとしている生徒たちを見ていないこと」だった。
今であれば、まず、やんちゃな生徒の挑発は取り合わないように心がける。そして、次の3つのことを意識して英語授業にのぞむ。
(1)みんなができることから授業をスタートする
以前は、まず授業の最初に起立し、あいさつをしていた。時間がかかり、生徒たちが指示に従わなくてもいいという雰囲気も出来あがっていた。そして英語で生徒に話しかけていた。ダラダラとした雰囲気に次第に私語も増える。
今は、授業の最初からフラッシュカードで単語の復習を行う。授業に遅れた生徒も途中から参加する。生徒の視線は教師がめくるカードに集中する。がんばっている生徒を力強くほめる。ほめることで雰囲気をもりあげる。中には、適当にやればいいと考える生徒もいるので、全員がしっかり言えているか確認するために、一人ひとりが英語を言う場面も設定する。緊張場面を入れることで、最初から集中して始められるようになった。
(2)教科書が読めるようにする
教科書を自分の力で読めるようにするために、つぎのような様々な方法で最低10回は音読をさせる。
「ゆっくり・少し早めに・CDで」リピート、「教室を半分に分け・ペア」で一文交代読み、ペアで制限時間読み、CD同時読み
楽しく様々な方法で繰り返し音読の練習をすることを生徒は歓迎する。また、何より授業をしている自分が楽しくなる。
(3)ペア活動を取り入れる
以前は、人間関係のことを気にしすぎるあまり、ペア活動をあまりさせていなかった。今は、隣同士でペアを組ませている。
英会話チェックシートで会話練習を始める。音読練習、ノートチェックなどもペアで行う。ペア活動を増やすことで、授業に活気がでて、生徒たちの笑顔も増えてきた。
最初は渋々活動していた生徒も、毎回することで楽しそうに活動するようになってきた。何といっても、生徒の活動量がぐっと増えた。
何から何まで自分がやらねばという思い込みを変えてくれたのは、ペア活動である。教室が落ち着かないときこそ、教師の説明は最小限にして、生徒同士の活動を増やしていくようにすると良い。
(厚 美佐:大阪府枚方市立中学校教師)
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