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保護者のイチャモン(無理難題要求)が増えている、その背景にあるものは何か

 アンケート調査(2005年、関西地区、回答数507)で、保護者のイチャモン(無理難題要求)が増えていると思うと回答した学校管理職が8割に達しました。
 小学校などでは、子どもが帰宅した後、担任が保護者宅に電話をかけて「ひざのすり傷は、休憩中に運動場で転んでついたものです。すぐに保健室で手当てしてあります」と、報告している姿があちこちで見受けられます。報告をしなかったために「連絡がないのはどういうことだ!」と苦情を言われ、トラブルに発展したりすることが往々にしてあるからです。
 クレームは、ある日突然、校長や教育委員会に伝えられたり、議員や弁護士がいきなり出てくることさえあります。
 「ちゃんと注意を払っていたのか?」といった質問に説明できるように、学校では、ふだんからあらゆることを記録にとり、対応策を講じ、細心の注意をはらうようになっています。
 こうしたイチャモンの背景には、
(1)
社会全体が閉塞し、不満と不安が急速に高まっていることがあります。見えてくるのはうっぷんばらしの「弱い者いじめ」の構造です。
 企業であれば、苦情は「お客様相談室」などを設けていますが、学校は直接持ち込まれます。
(2)
学校は子どもの生活指導や部活動など守備範囲がきわめて広範囲にひろがっていると理解されやすい。しかも、学校に言えば逆襲することはないため実害を受けることはない。
(3)
マスコミが教育問題を取り上げるとき、ていねいな背景事情や学校の努力の経過がきちんと伝えられることなく「だから学校が・・・・・」「教師というものは・・・・・」という一面的な批判が強く全面にだされます。そうしたなかで、保護者たちに実際とは異なる学校の実像が伝えられている。
(
小野田正利:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいる)

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