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問題がこじれたときは教師も親も身構えている、電話よりも家庭訪問すると効果がある

 新採3年目で4年生担任が元気なくふさぎ込んでいる。子ども同士のケンカで「仲裁の仕方が悪い。一方的にウチの子だけがひどく叱られているのは納得できない」と、保護者から批判を受け続けていた。むろん、学年主任や管理職に伝え、問題を抱え込まないようにしている。
 夕方にその親からまた学校に電話が入った。堂々巡りのやり取りが続いた。事情を知っていたベテラン教師が担任の肩を叩いて、電話を切るように促した。そして担任に「30分も話をして、まとまらなかったら、家庭訪問した方が早い」と言った。こじれ切っている問題は、電話ではらちが明かなくなること、直接、顔を見て話すことの効用を担任に伝えた。
 担任は家庭訪問することにした。やりとりを見ていた校長が、担任に「手ぶらで行ったらあかん。お菓子でも持っていき。今回は単なる家庭訪問とちがう。こじれている問題を、ときほぐすことや。スムーズに話に入れるようにすることは大事なんや」
 担任はケーキを買い求め、家庭訪問してケーキを差し出すと「先生にそんなことしていただいて、結構です」と強く言われたが、「私も食べたいのです。それに校長先生がおいしいと勧めてくれたのです」と続けると、幾分、柔和な表情になり「お茶でもいれます」と、家の中に招き入れた。
 それから1時間ほど、いろんな話が飛び出した。子どもの学校での様子、家ではどうしているか、子育ての苦労等々。担任はケンカの仲裁の仕方に話を戻そうとすると、親は「そのことは、もういいんです。私も感情的になってしまったところがありました。わざわざ先生に来てもらって話ができましたから、担任がウチの子の良いところも悪いところも、見てもらっていることが分かってよかったです」と話した。
 子どものことで問題がこじれたときには、教師だけでなく、親も身構えている。電話で話をするより、家庭訪問が効果を持つことは多い。臆せずに挑んでいくことだ。手土産持参という、ちょっとした心遣いから緊張感がほぐれる。互いに人間なのだから。
(
小野田正利:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいる)

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