教師がいろいろ試しても、うまくいかないのはなぜか、小手先で子どもを変えようとしていないか
僕たち教師は、日々、どのようにすれば子どもが伸びていくか考え、指導しています。しかし、うまくいかないことが多くあります。教育というのはマニュアル通りにはいかないことが多くあるからです。
後輩から「いろいろ試したけれども、うまくいきません」という相談を受けることがあります。そんなとき、僕は「休みの日も、ちょっとした時間も必死になって考えてる?」と聞きます。すると「いやあ、正直、休みの日はゆっくりと体を休めたいので」という答えがよくかえってきます。僕は、そんなとき、「なら、教師がその程度しか考えてないのに、子どもに変化を求めても無理があるよ」といつも言います。僕が伝えたいことは「自分は努力せず、小手先で子どもを変えようとしないこと」「自分が本気でないのなら、子どもだけ変わることを求めない」ということです。
実は、僕もあまり努力せず、小手先で子どもを動かそうとしたことがあります。教師3年目で、うまくいっているように思えました。僕自身は現状に満足し、あまり学ぶこともせず、子どもたちのこともあまり考えず、これまでやってきた取り組みをくり返し行っていました。今思えば、横着になっていたんだと思います。子どもたちが真剣に取り組まなくなっていきました。それを見て「なんで真剣にやらんねや」と叱っていました。思いのない実践、熱のない実践は子どもに見透かされてしまうように思います。
僕は、授業で個人活動になったときには必ず学習のしんどい子の所に行っていました。この行動は問題ありませんが、無言で「あなたは勉強ができない子なんだよ」ということを伝えることになります。こうしたことを意識するか、しないかで同じ行動をとっても子どもに伝わることが違ってくるように思います。教師の立場でしかものを見なくなったとき、本当に見なければいけないものが見えなくなってしまいます。思いあがる状態になりやすいのが教室です。だからこそ、いつも自分の心のありようを客観視できる自分でありたいです。
教師はどうすれば子どもたちが伸びていくのか、いつも真剣に考える必要があります。考えて、考えて、考えているうちに子どもへの熱が高まってくるのです。
本気で子どもを伸ばしたければ、24時間、子どもと向き合ってみる。そして、自分自身の子どもへの熱を高める。そんな状態で子どもの前に立ったとき、子どもに伝わることがたくさんあると思います。
(金 大竜:1980年生まれ、大阪市立小学校教師。教育サークル「教育会」代表。日本一ハッピーな学校をつくることを夢見て、学級づくりの取り組みがメディアに取りあげられている)
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