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甘やかさないで、子どもを自立させるにはどのようにすればよいか

 子どもが変わった、子どもがヘンだ、と十数年来ずっと言われていますが、学校現場で日々接している私たちからすれば、その変化は加速度を増し、ほとんどの教師たちはその指導の臨界点に達していると言っても過言ではありません。大きな原因の一つは「甘やかされた子どもたち」なのです。甘やかされて子どもたちをだめにしているのです。甘やかしに代わり、子どもたちの主体性を育てるにはどのようにすればよいのでしょうか。
 まず私たちがすべきことは、子どもの見方を改めること。認識を変えなければなりません。子どもの力を信じてあげること。これが生徒指導の基本です。教師が「何かをしてあげなければ」という意識にとらわれず、信頼して子どもが見られるようになると、教師も子どももやる気がでて、双方ともいい状態になります。
 教師が子どもたちの引き起こす問題一つひとつに気をとられ、反応していたらクラスは前に進めず立ち往生するでしょう。泣いていた子は、数分もしないうちに泣きやみ、談笑しています。子ども信じてふる舞う教師のクラスの子どもたちは、やがて先生を信頼するようになります。秘訣は子どもの中にある回復する力、対応する力をいつも認めているから、子どもをうまく導くことが可能になるのです。
子どもたちに自立をうながす、自己肯定感を育成するには
(1)
子どもの「できている点」指摘する
 子どもたちの何気ない、当たり前の行動にこそ関心を持ち、「やあ、よくきたね」「楽しそうだね」など自然に声かけをします。
(2)
子どもの言動を可能な限り肯定的にとらえる
 授業中「おしゃべりをやめなさい」から「こっちを見てくれる」といった言い方にします。どうしたら、否定・禁止から、肯定的表現になるかを工夫するのです。
(3)
子どもの存在を肯定する
 たとえ勉強しなくても、掃除をサボッていても、また尊いのです。そう見られると子どもは変わります。問題の大半はそれだけで解決するでしょう。
(4)
子どもの基準で考えてみる
 教師の基準でなく、その子の基準で考える習慣を持ってほしい。すべての子どもは成長したいと望んでいます。その視点から子どもたちの言動を見る。その子のしたいことをわかろうとする。「ああ、きみはこうしたかったんだね」と言うことができて、子どもの立場に立って共感がうまれます。
 私たち教師が子どもたちの信頼を裏切るような言動をしていなかったか、いつもチェックする必要があります。
 子どもの自立をめざすステップとは
(1)
子どもの感情を受け止める(自分を見つめられるようにする)
 イライラしたなど、自分の感情が自覚できると、自立への第一歩につながります。それは自分の気持ちを大切にする自分を慈しむ態度につながっていきます。教師が「それは、怒りたくなるよね」と感情に相対すると、どうしたらいいかが見えてくるものです。
(2)
子どもの意志を聞く(自分を理解する)
 「あなたは、そのときどう思ったの」「どうしたかったの」と、感情の背後にある子どもの思いに触れます。子どもは思いを話せたときに、はじめて「わかってもらえた」と感じることができます。そのとき、子ども自身の中で自分の問題も整理されてきます。自分の問題と向き合い、「どうしようか」という気になるのです。教師は子どもの事実関係を把握し、その背後を明瞭にすることです。
(3)
子どもに選択肢を用意する(可能性をさぐる)
 子どもに選択肢を与え、どんな結果になるか予測させます。たいていは「どうすればいいか」見えてきます。すべての行動には相手がいますから「そうか、では相手にどういうふうに言おうか」共に考えるようにします。それが可能性をさぐることになります。
(4)
子どもの自信を育てる(思ったことを実行する)
 ここまできたら、あとは実行です。そのときあらかじめ失敗を覚悟しておくことです。失敗からたくさんのことを学べることを知らせておきます。他者の協力を引き出すかということも考えさせます。
(5)
子どもの責任感を育てる(自分の課題は何なのか)
 責任感とは、いま起こっていることに、自分はどう対応するかという積極的な意識です。子どもが、いろいろなことを言うのに耳を傾けながら、勇気づけをしてやる気を出させ、「では、あなたにできることは何ですか」と問いかけます。
(
椎名 薫:1954年埼玉県生まれ、埼玉県公立小学校教師。アドラー心理学に興味を持つ、上級教育カウンセラー)

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