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私が困ったとき、乗りこえられたのは「ユーモア」を心の軸としたときから

 私は教師になって数年後、大きな壁にぶつかりました。言動が乱暴なA君のことで悩みを抱えていたのです。誰かと少しでも肩がぶつかると、すぐに相手を突き飛ばしたり、ものすごい剣幕で怒鳴ったりします。その子には全員、君付で名前を呼んでいました。
 A君は私の注意に納得しないと、罵詈雑言を私にぶつけてきました。A君に対する注意は日を追うごとに増えていきました。A君の言葉や態度に、顔が険しくなっていく自分に気がつきました。毎日、少しずつ自分の顔から笑顔がなくなっていくようでした。
 私にとって何よりもダメージが大きかったのは、A君以外の子どもたちの表情も目に見えて沈んでいくことでした。全員の前で話をしている私の顔が沈んでいるのですから。
 そこで、まずは朝一番に楽しい話をしようと、あるとき思ったのです。笑い声が起こるような楽しい話題で一日を始めよう。子どもたちの笑顔をつくろうと意識することから始めたのです。
 「ユーモア」をベースに、子どもたちが前向きで、仲間になっていく教室をつくっていく。そう意識して子どもたちと過ごすうちに、私自身に心の余裕が生まれてくるのを感じました。
 心の余裕が生まれるにつれ、私のA君への接し方にも変化が起こるようになりました。以前ならすぐに注意をしていたA君の乱暴な態度を前にしても「よっしゃ、よっしゃ」と冷静に接することができるようになりました。自然に温かく対処できるようになっていったのです。
 その私の変化に比例するように、他の子どもたちの笑顔も徐々に増えていきました。壁にぶっかって、心底悩んでいた私を、そして、何よりクラスの雰囲気を救ってくれたのが「ユーモアの心をもつ」ということだったのです。ユーモアが心の余裕を生んでいるのです。 
 教師という仕事は、「教師の心」こそが大きな意味をもつのではないかと思っています。「繊細な心」と「大胆な心」。一見、相反する心を持つことが私たち教師には必要なのだと感じています。
 私が教師として困ったとき、それを乗りこえてこられたのは「ユーモア」を心の軸としたときからでした。教室に困ったことが起きても、担任が頑丈で諦めない心をもっていれば、必ず状況を変えることができると思っています。
 流すところは流し、受けとめるところは正面から受けとめる。強い心を支えるのがユーモアなのです。ユーモアを教師の心の軸にする。それは、どんな状況にもしなやかに対応できる強力な味方を手に入れることと言えるかもしれません。
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森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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