教師は現在の自分としっかり向き合い自分を知ることが大事
優れた教師と出会うと、キャパシティが大きいなと思うことがしばしばあります。子どもを受容し、子どもに寄り添うには、子どもを受容できる教師のキャパシティが大きいことが求められます。優れた教師が大きなキャパシティを持っているのは自己受容ができているからなのだろうと思うのです。子どもを理解するには、教師は、あるがままの自己を受け入れ、自己理解を図ることが必要です。そして、安定した自己像をもち、子どもと接することが大事なのではないでしょうか。子どもだけでなく、同僚教師や保護者と接する際も、これは大事なことです。
教師は毎日、子ども相手に過ごしています。教師が自己理解を怠っていて、他者理解つまり、子ども理解などできるはずもありません。自分の長所はどういう面か、改めなければなにないのはどんな面かなどと、自らを内省したり、人との接し方を改めたりすることはとても大事です。そうしたことがあって、人間理解も子ども理解もできるものではないでしょうか。子どもに「○○先生」などの題で作文を書かせたりすると、いろいろと気づくこともあるでしょう。
それと教師は豊かな表現力を身につけたいものです。言葉は人柄を表します。人柄も言葉も磨こうではありませんか。
子どもを受容するとは、子どものしていることや言い分をすべて受け入れたり、認めたりすることではありません。いいことはいいし、いけないことはいけないと、見分ける目を教師は備えていなければなりません。
いけないことは、頭ごなしに叱るだけでは、子どもは反発します。なぜそうしたことをしない方がいいのか、してはならないかを子どもに言い聞かせることを忘れないようにします。生徒指導の目標は子どもが自分で考え、決める力を支援し育てることです。子どもが得心するように、子どもを温かく包み込んで、教え諭すことが必要だと思います。
子どもの言い分を聞く耳を持ち、妥当な判断をしながら、子どもに接する術を磨くことが大事な時代となりました。それと、説得力のある話し方や、接し方ができるようにすることも大事でしょう。やはり「子どもの心をどうとらえるか」なのだろうと、思われてなりません。それと、教師が子どもにゆとりを持って接することが大事なのです。
(飯田 稔:1933年生まれ。千葉大学附属小学校に28年勤務、同校副校長、千葉県浦安市立小学校校長を経て、千葉経済大学短期大学部名誉教授。学校現場の実践に根ざしたアドバイスには説得力がある)
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