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クラスづくりは教師と子どもとの心のつながりから始まる、そのポイントとは

 クラスづくりは教師と子どもとの心のつながりから始まります。子どもの心をつかむことなくして、クラスづくりを進めることはできません。教師が子どもの心をつかみ、お互いの心が通い合うようになれば、クラスが素直に生き生きと動き出すようになります。
 子どもの心をつかむためには、教師として知っておくべきポイントは
(1)
乱れてきたら、何かをそろえる
 何か一つ、具体的な行動をそろえることで、子どもたちの心がそろいます。子どもたちは、みんなそろって活動することの心地よさを感じることができます。すると、子どもたちの学習態度も落ち着いてきます。
 例えば、授業中、子どもたちが落ち着かない。こんなとき、授業開始の礼を全員そろって活動する場面を意図的に仕組んでみます。「座りなさい」と言って「何秒あれば礼ができるのですか」と尋ねます。「10秒を目標にやってみよう」と、実際やってみると、78秒でやり直しの礼が終わったら「10秒もかからなかったよ。こんなに素早くできるんだね。すごいね」と話します。すかさず、全員で「そろえる」活動をさせます。例えば「全員が一斉に教科書の○ページを開く」などです。
 態度を叱るのではなく、やるべき具体的な行為を示す。行動をそろえることから、心を整えていく。
(2)
教師のひと言が、子どもに勇気を与える
 子どもを勇気づける、とっておきの言葉があります。それは「あなたなら、大丈夫」という言葉です。この言葉には、子ども全面的に肯定してくれるメッセージがつまっています。子どもは、この言葉を聞いて「この大人(教師)は、自分のことを信じてくれている」と感じます。そして、この言葉に勇気づけられて、次の目標に向かって進んでいけるようになります。
(3)
子どもの話を聞いてあげる
 教師の心がけ一つで、子どもとのつながりを築くことができる方策があります。それは、子どもの話を聞いてあげることです。「なんだ、そんなこと」と思わないでください。子どもが一番いやなのは、無視されることなのです。逆に考えれば、話を聞いてもらえるときが、一番うれしいときなのです。休み時間や放課後、教室の教卓で仕事をしていると、子どもがいろいろな話をします。ほとんどが世間話です。忙しくても、子どもの話を「うん、うん」と、うなずきながら心をこめて聞いてあげましょう。そして、最後に「よかったね」「すごいね」「教えてくれて、ありがとう」と肯定的に言葉で会話を締めくくります。他愛のない世間話から、お互いの心がつながっていきます。
(4)
教師よ、心にゆとりをもて
 子どもの心をとらえる教師の姿勢があります。それは「心にゆとりをもっている」ことです。心にゆとりがあると、一つの視点からだけでなく、もっと別の視点からも見ていこうという思考が働きます。「これは、こうするべきだ」と、かたくなに一つのやり方・考え方に固執するのではなく、いくつかの選択肢も考慮しながら指導に当たるようになります。
 逆に、心にゆとりがない教師は、いつもいらいらしています。教師のいらいらは、すぐに子どもに伝わります。いらいらしている教師には、子どもたちは近寄りたくありません。
 教師は多忙ですが、気持ち一つで変えられます。私が自分に言い聞かせるのは「世の中の役に立つ人は忙しい」という言葉です。自分のこの仕事が誰かの役に立ち、自分の仕事によって誰かが幸せになるのです。そう考えれば、多忙感が快感に変わります。心にもゆとりが生まれます。
 「いらいら」の対極にあるのが、笑顔です。子どもは、笑顔が素敵な教師が好きなのです。教師たるもの笑顔をつくりましょう。子どもたちの明るい声を聞けば、つくり笑顔が本物の笑顔に変わるまでに、そう時間はかからないはずです。
(
佐藤幸司: 1962年生まれ、山形県公立小学校教師、教育サークル「道徳のチカラ」代表。道徳授業の教材を開発し提案している)

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