学校に無理難題をいう保護者が増えた理由と、どのようなタイプがあるか
学校に無理難題をいう保護者が増えた。その理由として考えられることは、地域社会の希薄化と核家族化で、保護者が家庭や近所に悩みごとを相談できる相手がいないため、子どもを通じて接点のある学校に苦情を言うようになった。学校は開かれているから、苦情を持ち込みやすい。それに「税金を払っているんだから、それで給食をまかなえ」といった保護者の規範意識・責任感の欠如があげられる。
大きく分けて四つのタイプがある。
(1)溺愛型
「新年度はウチの子どもと仲のいい友達を同じクラスにしてほしい」と言った、わが子を愛するあまり、少しでも子どもが有利になるように、学校にねじ込んでしまうタイプだ。
学校によせられる理不尽な要求や苦情の大半がこのタイプだ。多くは親バカの側面を持っている。
その要求や苦情の裏に潜む真意、つまり「子どもがかわいくてしかたがない」という気持ちを察し、共感できれば解決の糸口が見える。
(2)自己愛型
親のプライドが高く、自分の非を認めない。自分には非がないと思っているから、教育が悪いから子どもが悪くなったと責任を転嫁する。夫婦仲が悪かったりして、うまくいかない家庭の欲求不満等を解消するため、学校を責める行動である。学校を責めることで「子ども思いのいい親だ」と思い込む「取戻し行動」を取っている。
プライドが高いため、少しでも反論しようものなら、いきなりキレるおそれがあるので、親の話を聞きつつ、ゆっくり真意を探る必要がある。
(3)理解不能型
精神的に不安定になっているかもしれない保護者である。もっとも対応が難しい。夜中に教師の家に電話をしたり、「新聞に書き立ててやる」と脅しつけるケースもある。
親の精神状態が子どもにモロに悪影響を与える事実は見過ごせないが、メンタルヘルスの問題を教師が解決できるわけでもない。保護者の言葉や行動を逐一記録しておいて、専門家に相談するしかない。
(4)金銭要求型
ストレートに「金をよこせ」と言うと、恐喝になってしまうために、慰謝料や休業補償、交通費など、手を替える。学校は要求したところで、そのような金はありません。理由はどうであれ、金品を要求する以上、事件性は高い。学校は警察と連携するなど、毅然とした態度をとるべきだ。
(成松 哲:1974年大分県生まれ、ジャーナリスト)
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