統率力のない教師の学級は荒れる、リーダーとして教師は何をすべきか
クラスが荒れる原因は教師である貴方自身の中にある。つらいことだけれど、そのことを見つめなければなない。悪いのは、あなたの教育行為の中にある。子どもの前で教師として振る舞ったことの中に、クラスが荒れる原因があった。どれがいけなかったのか、なぜいけなかったのか、振り返ってみることが必要だ。
集団の長には統率力がなければならない。統率力なきリーダーに率いられた集団は必ず騒乱状態になる。教室のリーダーは教師である。子どもを統率する覚悟と責任が必要である。
リーダーとしての教師は何をすべきか。授業であれ、学級経営であれ、やるべきことを明確に指示し、一度示した指示はよほどのことがない限りやり通すことである。発問・指示は明確に示さなければならない。「教科書52ページを開きなさい」と、明確に示すのである。集団は、なかなか指示が行き渡らない。シーンとした中で短くきっぱりと三回言ってやっと伝わると思った方がいい。
つぎにリーダーとして大切なのは、「筋を通した後に、あたたかく接する」ことである。失敗した子にも、あたたかく接することだ。うんとほめてやることだ。これを逆にしてはならない。まずあたたかくしようとすると、教師として未熟なわけだから教室は当然荒れる。未熟な新卒教師や不勉強なベテラン教師は荒れる。荒れを防げるのは教師の高い技量のみなのである。
不幸にしてクラスが荒れてしまう場合もあろう。そんなときは、荒れを防ぐ方法は一つしかない。「荒れと闘うのである」闘いであるから、敵を少人数に絞り、味方を多くしなければならない。叱るときは「あれも、これも」叱っては絶対にだめだ。はやる心を抑え「たった一つの明確なこと」を叱るのである。
「○○くん、授業中は席につきなさい」
「授業中、席に着かなくてもいいと思う人、手をあげなさい」
○○くんの仲間の何人かが手をあげるだろう。
「分かりました。先生は、すぐに学級通信に載せますから、授業中席を立ち歩いていい、という作文をすぐ書きなさい。クラスのお母さん方に見せて意見を聞きます」
このようにたたみかけていくのだ。たった一つの勝利が、次の勝利を呼ぶ。
それを多くの教師は、子ども全員を敵にまわすようなやり方をしてしまうのだ。闘いの場には、その気で臨まねばならない。十分覚悟と準備が必要だ。それさえあればあなたは必ず勝つ。あなたは誠実な教師だからだ。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)
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