生徒指導がうまくできるようになるポイントとは
生徒指導は、まずは恥ずかしがらず真似してやってみることです。憧れる教師や生徒指導に長けている教師の真似をしてみてください。やってみるとうまくいったり、いかなかったり、やってみたからこその発見があります。声のかけ方や先輩の独自の取り組みなど、やってみると子どもの反応が劇的に変わることがあります。やがて真似だけではいけないと分かった時が、もう一段階段をのぼる瞬間だと思います。
子どもを指導するとき、言葉を吟味し、誠意をもって子どもを指導することを心がけるようにします。自分が子どもであった時に、こんな言葉をかけられたらどんな気持ちになっていただろうか。そのようなことをイメージすると言葉の一つひとつが変わってくるはずです。
教師が発した言葉や指導がその子を通じて保護者などに伝わります。それを聞いて保護者から反発を受け、問い合わせがきたりする場合があります。そんなときは焦らず、少しずつ自分の発言を理解してもらえるようにすることが大切です。
指導は一度では終わりません。例えば「遅刻をしないように」と一度言ってすぐにできる子どもはほとんどいません。言い続けてこそ指導となると心得ておきましょう。しかし、いつも気になっている子どもに「こうしなさい」と続けて「強いる」ことがあります。これはかえって反発を招きます。その結果、へそを曲げて帰ってしまったようなときは、保護者に連絡し「指導の途中で帰ってしまいました。今日はちょっと家で話を聞いてあげてください」と言って、「様子をみる」ようにします。子どもにも心の逃げ道が必要です。また、教師にも頭を冷やす時間があってもよい。「様子をみる」のは、指導をしないのではなく、次の指導の機会を持つためです。根気強く時間をかけて指導するようにします。
生徒指導は一人でやりきることは難しい。何か問題が起きたとき、大切なのは「はじめの対応」です。まずはケガの確認です。素早く「なんでこんなふうになったの」と聴き取ります。ケンカのときは目撃者の証言が大切になってきます。必ず他の教師の応援を頼みます。連絡・相談し、連携して指導しましょう。相談すれば効果的な指導を教えてもらえたり、一緒に指導してくれたりします。「報告・連絡・相談(ほうれんそう)」は、大きなトラブルに発展しそうな問題も、未然に防ぐことができます。伝えるべきことがある時は早く伝えましょう。
問題傾向がある子どもに対しては、「なんでこんな動きになってしまうのかな?」と、その子の行動を見るようにします。その行動を一緒に見つめるような声かけをすると、様子が変わってくることがあります。叱られてばかりいる子も、おとなしい時があるはずです。何もないときに会話や対話をたくさん重ね、人間関係を太くしておくとよい。叱りたくなるような場面があれば、少し待って様子をみましょう。そして穏やかに語りかけ、こちらの意図を話しましょう。
問題行動を繰り返し何も変わらない子どもがいます。このままでは社会に受け入れられそうにありません。そうであれば、ぜひ、「このままでは大変なことになるよ」と、本音でその子と向き合いましょう。「ときには、感情的になって、本気で子どもに怒ってよい瞬間」があると思います。大切なのは、その感情を整理して子どもに接することができるかどうかです。子どもに自分の将来の姿を想像させるのは教師の大切な仕事です。ごく普通の生活を送るためにも、目の前の問題に本気で目を向けさせなければなりません。自暴自棄の生活を送っていて幸せになることはありません。「このままだったら心配なんだ」と言葉にしてみてください。何度も言葉にすることで、未来を考えてくれるようになってくれると思います。
(杉本直樹:1980年大阪市生まれ、大阪市公立中学校教師。生活指導部長。教育サークル「未来」)
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