クレーム対応は、まずは話をしっかりと聴き、おわびをしてください
クレーム対応にいちばん必要なスキルは、コミュニケーションスキルです。クレームをいう人の心理状態は、水のいっぱい入ったコップと同じで、怒りや悩みであふれているのです。まずは、怒りや悩みをすべて吐き出させて、そのコップを空にします。そのためには、まず聴くことです。
では、実際のクレーム対応とは、どのようなものでしょうか。基本的なポイントは、第一印象をよくすることです。クレーム対応に要する時間が大幅に減ります。
人の第一印象は、最初の30秒で決まるといいます。まず目から入ってくるもの、次に耳から入ってくるもの、最後に話の内容で、その人の印象がいいか悪いかが決まります。
やってはいけないのは、笑顔です。クレーム対応では、申し訳ないという表情を浮かべるようにします。目を凝視すると危険です。「ケンカを売っているのか」と思われかねません。目玉を見るのではなく、顔の中心あたりを見ましょう。うなずいたり、考えているようにします。ただし、視線を外すときは、縦にそらします。横や上に目をそらすのはNGです。目が泳ぐ状態になるので、話を聞いてないとか、本当のことを言ってないと受け止めているかのような印象を与えてしまいます。目の動きはとても大切なのです。
軽く前傾姿勢で手は腹の前で組むようにします。申し訳なさそうな表情で「ご不快な思いをおかけしまして、誠に申し訳ございませんでした」と言うと、気持ちが正しく伝わります。このトレーニングはぜひやってみてください。
声の大小は相手に合わせるようにします。相手の声が大きければ、こちらも声を大きくします。乱暴な人に丁寧すぎる対応をとると、かえって反感を買ってしまうこともあります。
クレーム対応には手順があります。特に大事なのは、まずきちんとお詫びをし、それから相手の話をしっかり聴き、心情を理解します。どう考えてもこの人の心情が理解できないというケースが出てきたり、事実確認の時点で、どうも事実がはっきりしないケースが出てきて、どうやらこれは異常なクレームだとわかってくると、その段階で対応を変えるなどしていきます。
おわびの目的は、クレームを言っている相手の気持ちを落ち着かせることです。はじめにきちんとおわびをされると、かなりトーンダウンすることが多いのです。まずは相手の話をしっかりと聴き、おわびをしてください。やってはいけないのは「すいません、でもね」とすぐ、言い分けすることです。このときの注意点は「私の責任です」と、こちらが全面的に悪いと受け取られるような謝罪はその後が非常に不利になるので、しないということです。
「いきなりおわびをしたら、こちらの非を認めることになるから、後々不利になるんじゃないか」と、そう考えている方はたくさんいます。しかし、それは誤解です。原因が何であれ、不快な気持ちをされているのです。そのことに対して、まずは言葉でおわびをしてください。このおわびは「部分謝罪」で、あくまでも相手の不快な気持ちに対してするもので、こちらが全面的に悪いとは、ひと言も言っていません。わざわざ相手の神経を逆なでする必要はありません。まずは、しっかりとおわびをしてください。
おわびをするときに、言ってはいけない言葉があります。「二度と」「絶対」しないという言葉です。悪意のあるクレーマは、わざと「二度と」と言わせようとします。言い切るのではなく「努力いたします」「今後、改善していくよう努めます」という言い方をしましょう。
(津田卓也:人材マネッジメント会社キューブルーツ設立し社長)
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