学校と保護者との信頼関係を作るためのちょっとしたきっかけ作りとは
おそらく八割がたの保護者はモンスターではなく、理解を得られる可能性があると考えられますので、保護者との信頼関係を作るための、ちょっとしたきっかけ作りをアドバイスしたいと思います。
保護者が学校や教師と対立するケースは、わが子がいじめられていると聞いたとき、学校を非難する。不登校の原因になったとき、原因は学校や他の子どもにあると疑う。子どもが問題行動を起こしたとき、学校側が説明する行為の内容や指導に納得しない。わが子の言うことを信じ、教師の言うことを信用しない。わが子のことしか考えず、要求を通そうとする。ことなどが考えられる。
このような事態が発生した場合、保護者から苦情の電話があったときは、話をよく聞き、すぐに反論しないようにする。電話では簡潔に内容を聞き、直接会って顔を見て話したほうが誤解は少なくなるでしょう。懇談会は教育の話ばかりでなく、リラックスできるような趣味の話やゲームなどを交えて、教師が自分をさらけ出し人間性を知ってもらうと、保護者との距離を縮めることになります。
子どもの問題行動を指導するときは、「お母さん、子育てはなかなか思い通りにならず本当に大変ですよね」と言って保護者に共感を示すようにします。「お子さんを立派な大人になるように育てたい気持ちは我々教師も同じですよ」と、子どもの成長を願う気持ちは同じであることを意識させ、一緒に協力して指導する方向にもっていく。
ただ、ごく一部のモンスターペアレントの場合は、ヨイショしても通じませんので、割り切って外部機関への訴え等、堂々と受けてたち、子どもの改心に全力を注ぎます。
わが子の話だけ鵜呑みにし、いきなり教育委員会に訴えられてしまえば、学校は窮地に立たされます。教師は常日頃から、何か聞きたいこと、言いたいことがあれば、いつでも学校に直接、言ってもらうよう、機会あるごとに保護者に周知しましょう。保護者からの苦情や訴えがスムーズに学校へ伝わる流れを確立しておけば、誤解や解決の時間を短くすることができます。
学校で大きな事件が起こると、マスコミは学校の責任を追及するような報道をします。記者会見などで、学校が責任逃れと受けとれる発言をすると、追及の手は一段と厳しいものになります。保護者ですら、学校が隠ぺいをしていると感じてしまうでしょう。少しでも早く保護者説明会を開いて、包み隠さず事実関係を説明し、質問・疑問に誠意をもって応えるようにします。保護者に納得してもらえば、たとえ世間が騒いでも、学校と保護者が協力して対応することができます。
(和田慎市:1954年静岡県生まれ、元宮城県・静岡県公立高校教師、教頭)
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