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問題を起した子どもに事実か聞くとき、どのように指導すればよいか    

 例えば、子どもが「だれだれさんがぶった」と教師に訴えてきたら、事実かどうかそっと呼んで聞かなければならない。
 このとき、子どもとは不思議なもので、なんとなく「あっ、あのことだな」と察し、「叱られる」と思って、うつむいて、かたくなな表情で、その事実を拒否しようと身構える。
 だから、やわらかくアプローチする。同じ高さの目線にそろえて話しかける。
その聞き方の流れをつぎの例で考えてみる。
1 まず、よいところをほめる。憎いので叱るのではないことを伝える。(話の筋ごとに繰り返し行う)
「○○くんは、今日算数の時間、手をあげて元気に答えてくれました。いい子だね。先生○○くんが大好きです」
2 間接的に問題行為を聞く。つい失敗したとみなすために。
「○○くんは元気なので、ときどき、元気があふれることがありませんか」
「元気があふれて、△△さんに何かしなかったかな」
「△さんが痛いって言わなかったかな。△△さんは泣かなかったかな」

3 黙秘権を認める。
「言いたくなければ、言わなくてもいいんだけど、△△さんをぶったみたいなことしなかったかな」
「した」
「よく正直に言ってくれたね。先生はとてもうれしい。でも、どうしてぶったのか聞きたいなあ」
「おしたから」
4 両者とも評価する。片方だけが悪いとしない。
「そうか。おしたからか。それは、おしたほうも悪い。それで、つい手が出たんだね」
5 人格と行為を区別する。
「きみはとてもいい子だ。しかし、ぶったことは失敗したな。悪いことだったね」
6 教師が自己開示する
「先生も子どものころ、よく友だちをぶって先生に叱られた」
7 問題行為の代案を示す。「ぶつ」かわりにどうすればよかったか代案を言う。
「そのとき、先生は考えた。ぶつかわりに、「おさないで」って口で言うようにしたんだ。○○くんも口で言えるかな」
「言える」
8 その代案を練習させる。
「じゃ、言ってみて」
「おさないでね」
「よし、よく言えたね」
9 子どもに押しつけず、本人の自発性を引き出す。
「では、これから、どうしたらいいと思うかな」
「口で言う」
「そうか。よくわかってくれたね。○○くんはとても頭がよく、理解が早いね。その言葉を聞いて先生は安心した。ほかに、なにかすることないかな」
10
その子どもの自己課題とするように話をする。「先生だったら・・・」とモデルを提示する。
「先生だったら、△△さんに「ごめんね」とあやまるな。きみならどうする」
「あやまる」
11
共感のうえに、謝罪を勧告する。
「そうか。ますます気にいったな。あやまることができればたいしたものだ。つらいだろうけど、あやまろうか」
「はい」
12
相手に対する要求を聞く。双方向性をもって評価しているので。
「では、△△さんを呼ぶからね。そのとき、△△さんに言いたいことはないかな。あれば、先生から伝えますが、どうですか」
「ありません」
13
緊張感をほぐし、これからも親密な関係で交わることを伝える。
「きょうはありがとう」と頭をなぜたり、握手したり、くすぐったりしてやる。

 こんなにすいすいといくことはないだろうが、この例は小学校低学年だが、高学年であろうと、中学生であろうと、ここに示したポイントを押さえて指導するようにしたい。
(
家本芳郎:19302006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)

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