問題行動が目立つ子どもの保護者とのつきあい方
問題行動が目立つボス的な存在のAを担任することになった。これまで保護者と学校との関係も良好ではない。まず、保護者へハガキで良い行動を伝えることから始めた。出会いの日から良いところを探し「良い姿勢」や「返事の大きさ」を見つけ、「あなたの伸びた背筋からは、やる気を感じます。『ハイッ』という元気な返事からは、頑張ろうという気合いを感じます。一年間、一緒に成長しましょう」とハガキに書き投函した。
ハガキが届けば本人も親も必ず読む。ハガキで伝えたかったことは、担任がAをしっかりと見ていること、良さを認めているということである。保護者というのは、担任がわが子をきちんと見ているか、正当に評価しているかを注意深く見ているものである。私は、ハガキは毎年、学級の子どもたち全員に送っており、「特に!」という子どもへは3.4枚をプラスしている。
子どもの問題行動の些細な行き違いが保護者に大きな誤解や亀裂につながる恐れがある。そこで、小さな問題であっても、事実を細かに記録した。「いつ」「どこで」「だれが」「どのように」といった情報を複数の子どもから集め、そごがないように整理してから伝えるようにした。ケンカで言い分の食い違いがどうしてもあるとき、なぜ確認できなかったかを伝え、謝罪した。いたらない点は謝罪することもポイントである。
問題行動を伝えるとき、主観を挟むと保護者は感情的になる。しかし、確かな事実であれば、冷静に受け止めてもらえるし、理解を得られることが多い。Aの保護者も「うちの子の言っていることが全部本当じゃないんでしょうから」と言ってもらうようになった。
とくに大事だと感じているのは、保護者の話はよく聞き、聞き役に徹して、言いたいことを全部はき出してもらうことである。その際、気をつけたことは「なるほど」「わかります」「そういう考えもあります」と、共感的に聞くようにした。
学校へ何かを訴えてくる親は熱心な親ととらえよう。そして、まずは共感的に聞くことである。それによって、こちらの話にも耳を傾けてもらうことができる。
一年の終わりには、Aの保護者は「これまで誤解されることが多く、家に帰って『誰も聞いてくれない』と訴えしていました。先生には本当によくしていただいて、みるみる変わっていくのがわかりました」と、感謝されました。私自身もAやその保護者とのかかわりから多くを学んだ一年でした。
(山本和彦:北海道石狩市立小学校教師)
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