どうしようもないことにクレームをつけられた時、どう対応すればよいか
言われても、どうしようもないことにクレームをつけられることがあります。すぐには普通のクレームと区別できないものがほとんどです。まずは手順にそって、おわび、傾聴、心情理解と進んでいく中で、見きわめなければいけません。
このような人たちの問題は、心の中にあります。解決のしようもなく、非常に厄介なクレームです。ある程度、長期化すると念頭に置いて対応してください。
(1) 粘質タイプのクレーム
しつこく、長期化するのが粘質タイプのクレームです。「些細なことを何度ももち出し、詫びさせる。長時間話を続ける。特定の担当者につきまとい、いやがらせをする。説教をする」といったことがおきます。
このタイプの人たちは、非常識な人という扱いを受けることを嫌がります。偉い人と話したがります。偉いひとに「申し訳ありませんでした」と言わせることで、満ち足りない心や寂しさを埋め、自尊心を保とうするのです。
(2) 病的タイプのクレーム
こちらに非がなくて、原因がよくわからないクレームが病的タイプです。特徴として話が飛躍し、同じことを何回も言ってきます。自分が被害者だという意味の言葉を入れてきます。「喜怒哀楽が激しく、何がきっかけで感情が変わるかわからない。被害妄想的に思い込む。ちょっとしたことに異常にこだわる」のようなクレームです。相手の話を聴かずにずっと話をする傾向があります。こちらが何か言おうと思っても、言うタイミングがつかめないほど話すのです。
この人たちは正当でないことを延々と言ってくるので、いずれノーを突きつけることになります。そうすると、不満を発散させるために、別の場所に向かってクレームを言うことになります。
クレーマーの問題は心の中から発生することが多いため、普通のクレームと同じ対応をしていると、長期化する恐れがあります。こちら側に問題があるわけではないので、解決方法もなく、話を聴き、誠実に対応すればするほど、泥沼化します。このようなクレームに対応するためには、
(1)一人で対応しないで、連携プレーで対応する
ほかの人にも伝え、応援を求める。長時間一人で対応させないようにし、複数対応をする。病的タイプの場合は、担当者を代える。
(2)結論を出す必要はない
基本的に解決法がないので、無理して見出そうとしないこと。平行線で終わること。
(3)時間を決めて対応する
対応する時間をあらかじめ決めておく。時間が過ぎた場合、他の人が呼び出して、その場から離れる。お引き取りいただくか、了解を得て担当者を変える。
(4)主張や要求に対して、丁寧な言葉で拒絶する
相手はこちらのあげあしを取ろうとするため、いい加減な返事や優柔不断な態度はとらず、できないことはできないと、はっきり言う。
粘質タイプは、常識があり、影響力のある人のときもあり、敵に回さないよう注意する。あまりにしつこい場合は「○様のおっしゃることは、よく聴いております。○の点についてはよくわかります。すでに、これだけ長い時間を取ってお聴きしておりますので、これ以上続くようであれば、不本意ですが、しかるべき専門部署に引き継がなければならなくなります」と、プライドを傷つけないように対応すれば、たいていの粘質タイプのクレーマーは引きさがります。
病的タイプは常識が通用しません。長々とつきあう必要はありません。事務的に淡々と対応します。相手の気持ちに寄り添わないようにします。病的タイプのクレーマーは、気持ちに寄り添ってもらえると「あの人は気持ちをわかってくれた。明日はもっと話そう」と、要求をエスカレートしてきます。もうこれ以上対応していられないと、急にそっぽを向くと「お前だけは味方だと思っていたのに、お前までバカにするのか」と逆ギレします。そうなる前に、途中でモードを変えて、淡々と対応するようにします。拒否する場合は、必ずほかの人が言うようにしてください。交代することで、相手の気をそぎ、怒りを分散させることができます。
これまで、警察に通報するのを躊躇する風潮がありました。だから、クレーマーに食い物にされてきたのです。今や、そんなことを言っている場合ではありません。個人で何とかできるレベルを超えてしまっています。大切な職員をうつ病などで失ってしまうのを守るためには、警察に連絡する、専門の人を用意する、窓口をつくっておく、弁護士を頼んでおくといった組織での対応が急務なのです。
(津田卓也:人材マネッジメント会社キューブルーツ設立し社長)
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