いじめのエスカレートや潜在化をくいとめる重要なポイントとは
ちょっと変だぞ・・・・・と思ったら即介入です。「あれっ?」と思った時には初期段階をこえそうなことが多くあります。教師が気づく頃には、かなり進行した状態が多い。
「私の考えすぎでは?」と躊躇せず、すぐに対処しましょう。この時期を逃すと大がかりな介入が必要となります。それは教師だけでなく、子どもたちにも甚大な被害をもたらします。
この子なら正直に語ってくれるだろうと思う生徒1~2人をこっそり呼んで学級の様子をたずねます。私の感じたことをぶっつけると、たいてい「そうなんですよ、あの子やられてる!」とせきを切ったように話してくれます。この時、メモしておきます。例えば「からかった」ときは「いつ、どんな場面でどんな行動でどんな言葉で」と、克明に書き留めます。同じことを言う生徒が2人以上いれば、それは間違いなくいじめです。
克明に記したメモを持って、いじめられている生徒に尋ねます。初めは報復が怖くて否定するかもしれません。その時にこのメモが重要になります。具体的な場面を話し「こんなことあったよね? 嫌だったでしょう」と言えば、泣きだす生徒もいます。
それでも「遊びだと思っている」と、認めたがらない生徒には「あなたがそれでよくても、周りの人は心を痛めています。それをしている人たちはもっとひどい加害者になってしまうでしょう。だから私にまかせて」「このことは決してあなたから出た情報だということにはしないから。見ていた人たちが不快に思い私に告げてきたことにするから。だって見ていた人は大勢いるのだから」と殺し文句を言います。
学級で生徒に「私たちのクラスにいじめがあるようだ。具体的に言うと・・・・・・・・・・です。それは学校での問題行動の中でも最も極悪とされるいじめだ。知っていた人はどんなことがあったのか、誰がいつしたのか書きなさい。知らなかった人は、このことを聴いてどう思ったのか書きなさい」と語った後、用紙を生徒たちに渡し記名させます。そして書かせます。
このアンケートを取ることにより、誰が告発したのかわからなくなります。つまり、全員が告発者になり得る状況になります。加害者の「誰がチクッた」という間違った怒りを抑えるためです。こうすることにより、一部の生徒からの聞き取りは全員からの告発にすることができます。いじめのエスカレートや潜在化をくいとめる重要なポイントです。
(堀川真理:1963年生まれ、新潟市公立中学校教師。学校心理士、カウンセラー。カウンセリング・ワークショップ「サイコドラマ新潟」主宰)
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