保護者対応のコツとは
学校は生徒・保護者に教育サービスを提供する場とする傾向が強くなってきています。こうした傾向が保護者のクレームを増やし、モンスターと呼ばれるほどの行きすぎた要求をする保護者まで生み出しました。
しかし、学校はサービス業ではありません。社会的要請である規範意識の醸成や学力を形成し社会に有用な市民を育てることをめざす教育機関です。従って保護者の要求をなんでも聞き入れるというわけにはいきません。教師に必要とされる対応力が高度になってきているのです。保護者対応のコツは
(1)まずは話を聞く
保護者のクレームを受けて深刻な問題になったという教師を私はこれまで何人も見てきました。中にはその保護者のクレームをきっかけに気持ちの糸が切れてしまい、休職せざるをえなかったという方もいました。
そうした教師の特徴は、プライドが高く、保護者から責められることに耐えられずに、言い訳に走ったり、反論していたということです。そういう態度がよけいに保護者を怒らせ、頑なにさせて、解決する問題も解決させなくしているといった印象でした。
自信をもっている教師ほど、保護者に対して自分は正しいと主張したくなるものです。しかし、保護者と正面から対峙すると摩擦が高くなるばかりです。
まずは保護者の言い分をしっかりと聴いて、余裕をもって対応することが必要です。多くの場合、じっくりと保護者の話を聞く姿勢を示しただけで、深刻な問題にまで発展しないものなのです。
(2)すぐに対応
学校でトラブルがあって生徒が指導に納得していないとか、ちっと怒鳴りすぎたかなと思われるような指導があった場合には、保護者への第一報が生徒から入るか教師から入るかということが、クレームになるかならないかを分けることがあります。とにかく、第一報は教師が入れるのがよい。電話連絡は生徒が帰宅する前にしたほうが良い。
逆に「帰り道、うちの子が○○くんに殴られたと言うんですよ」とかいった電話が保護者からあった場合
「すぐに対応します。○時頃までに経過をお電話します」と、保護者に見通しの見える形で応えるのが原則です。
(3)保護者の心情に沿う感覚をもつ
どんな保護者もわが子のことを最優先で考えます。それが親なのです。このことを頭におきながら、
「ぼくも残念に感じたんですけれども」と保護者の心情に沿いながらトラブルを説明します。保護者と接するとき、これがとても大切なことです。
(4)こまめに保護者に連絡する
保護者と電話して話しをするときのコツがあります。保護者が専業主婦であれば生徒が学校に来ている時間に電話をかけます。働いている保護者であれば、塾などに行っている時間帯にします。生徒がいない場で行います。
「担任の堀ですけども、よろしくお願いします」と挨拶をしたあと、
「実は○○くんが、△△の時間にこんな良いことをしまして・・・・・・」と、まず良いエピソードを語ります。
次に「実は、○○くんと話していたとき、伏し目がちの表情に見えたものですから、ちょっと気になりまして。お母さんのほうで何か思いあたることはございますでしょうか」と、いったように、保護者に多く語ってもらえるように。
そして「この先生は細かいところまで見ているな」と思ってもらえるようにします。この電話の効果はすさまじいものがあります。
(堀 裕嗣:1966年北海道生まれ、札幌市立中学の国語科教師。92年、国語教育研究サークル「研究集団ことのは」を設立、道内の民間教育団体でつくる「教師力ブラッシュアップセミナー」の代表も務める)
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