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保護者との接し方の基本とは

 保護者と接する基本は、子どもをよりよく育てるために力を合わせるパートナーとして信頼関係を築くことにある。そのためには
(1)
子どもを思う親心を理解する
 わが子が一番かわいいと思うのが親心である。わが子への期待感が生きがいとなっている親の心境を理解し、対応することが大切である。
(2)
子どもの長所や得意な部分を強調する
 親は子どものことをほめてもらえればうれしいし、親しみをもつ。その子の長所や持ち味を強調し、親の心をつかむことが大切である。逆に欠点ばかりを指摘されれば、反発の心が生まれるものである。
(3)
保護者と共にという姿勢をもつ
 保護者の協力なくしては学校教育は成り立たない。子どもの成長や学力の向上という共通の目標に向かって共に協力し合っていくという意識をもつことが大切である。
(4)
保護者の教育に対する考え方や感じ方を理解する
 保護者の教育観は多様である。教師に何を求めているかを理解しなければならない。
(5)
謙虚な姿勢で常に反省する
 教師は子どもが問題を起こした場合、原因を保護者や子どもに求めがちになる。しかし、教師は自分の指導に問題がなかったか、謙虚に反省し改善していく姿勢が大事である。
(6)
親の努力を認める
 問題をかかえた子どもであっても、子どもを育てきた親の努力を認めなければならない。親を責めても協力は得られない。
(7)
親の子育ての悩みに共感する
 子どもが学校生活でつまずいたとき、親の心は深刻である。教師は親の悩みに耳を傾け、真剣に対応し、どんな協力も惜しまない姿勢を示すことが大切である。
(8)
親に協力することと迎合を区別する
 教師が親と心を一つにして対処することは大切であるが、親に迎合することでない。教育者としての信念に基づき、親の協力を得て教育目標を達成していくのが教師である。「教育への情熱」「子どもへの愛情」「親の意向や子どもの気持ち」を大切にしながら自信をもってあたりたい。
(9)
親への親しみとなれ合いを区別する
 「親しきなかにも礼儀あり」の心を忘れずに、立場をわきまえ、一定の心の距離を考えた、さわやかな接し方を心がけたい。
(10)
学校として一貫性を保つ
 保護者への対応が、教師により、また年度により異なるようでは、学校への信頼を得られない。常に学校としての一貫性をもたなければならない。学校の教育目標、各分掌の指導方針を理解し、学年・学校としての立場で行動する心がけが大切である。
(11)
人権尊重の精神を忘れずに
 保護者への対応、子ども成績や性別などで差別のある態度をとらず、常に公平な立場で行動することが大切である。何気なく口にした言葉が親や子どもの心をひどく傷つける場合がある。そのことが原因で学校嫌いになることもあり、言葉づかいには十分に気をつけたい。
(
岡田克己・鈴木博子:東京都公立小学校校長)


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