はじめから新たな試みを成功させようとするのではなく、小さな失敗をくり返しながら試行錯誤していくことが大事だ
はじめから正解を当てようとするのではなく、小さな失敗をくり返しながら試行錯誤していくことが大事だ。
僕は「よのなか科」の授業を考えついたら、まずワークシートをつくってやってみます。小さく始めてみるんですね。生徒にウケなかったところ、勘ちがいしていたところを実際の授業を通じて直していく。「正解主義」ではなく「修正主義」です。
「スターバックス」というカフェを知っていますか?
今、人気のカフェ「スターバックス」を見ると、ボクたちはそれがあたかもずっと以前から現在のような姿であったかのように錯覚してしまいます。はじめっから「正解」だったから当たったんだと。それに、親や学校の教師を「正解主義」の権化のように見えてはいませんか?
じつは、親だって悩みながら子育てしているし、教師だって、何にでもそんなに確信があるわけじゃない。本当は「スターバックス」のようなカフェも試行錯誤の結果、ヒットするに至ったんです。
このカフェの創業者は当初、完ぺきなイタリアンスタイルの店を考えていました。立ち飲みのほうがおしゃれだからと、椅子がなく、店員は蝶ネクタイ、オペラが店内に流れていたのです。
これではうるさいし、落ち着けないし、客は入りませんよね。じつは、スタイルの修正と店舗の改善をくり返して、今日の姿にたどり着いたというわけです。
はじめから成功を意図して正解を当てようとする「正解主義」ではなく、小さな失敗をくり返しながら試行錯誤していく「修正主義」が大事だということ。
小さく賭けて、失敗に対して素早い学習をくり返すこと。このことは、子どもたちの学校生活や受験にも、教師の授業の改善や保護者のみなさんのビジネスや人生の選択にも通じる一大原則です。
(藤原和博:1955年東京生まれ、リクルート社を経て、東京都初の民間人校長として杉並区立中学校の校長を務めた。身近なテーマを材料に世の中の仕組みを伝える授業「よのなか科」や進学塾と提携した夜間の有料授業「夜スペ」など斬新な手法で注目を集めた。2008年大阪府知事の特別顧問。14年から佐賀県武雄市特別顧問、16年奈良市立一条高校校長)
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