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国語科:授業の時間の配分は子どもに決めさせ、読解は子ども同士と言葉をつなげよう

 教師はなるべく言葉を発しないで、進行は子どもたち自身がする。それが岸田流「子どもを育てる国語」だ。
 6年生の子どもたちは、教科書にある「海の命」(立松平作)を読んだ。魚のクエを捕ろうとして海で死んだ父と同じように漁師になった太一は、村一番の漁師と呼ばれるまでになった。
 ある日、海で父の命を奪ったであろうクエに出会い、捕るかどうか葛藤する物語だ。
 始業のチャイムと同時に、この日の課題「村一番なのに、なぜ太一はクエをうたなかったの?」が、黒板にはられた。
 子どもたち各自の机には全文がコピーされた紙が置かれている。課題を探る手がかりを青色で線や書き込みを紙にするのだ。
 岸田「何ページにもわたる教科書では、線と線をつなぎ、キーワードを結ぶことができません。だから、全体がひと目でわかるコピーを使います」
 岸田「大切な課題だね。では、『一人学び』から始めます」とひと言いった。
 この日の書き込みは全員が「青色」です。だが、単元の最初の授業はオレンジ色だった。最後は赤色にする。読み込めるようになる後の授業ほど、目立つ色になる。これは、子どもたち自身が考え、色の順番を決めた。
 10分後、指示もないのに数人ずつが机を寄せて「グループ学び」を始めた。
 黒板には、10分「一人学び」、5分「グループ学び」、25分「全体学び」、5分「振り返り」と書いた紙がはってある。
 45分授業の時間配分も、単元ごとに子どもが決めるのだ。
 岸田「学期の後半ほど全体学びの時間が増えます。グループも前回は生活班、今日は縦割り班、違う人の意見も聞きたいと子どもが決めました」
 教師は教室を回り、戸惑っている子どもに声をかける。
 全員がいすを持って黒板の前に出た。「全体学び」だ。
 男の子が前に出て、黒板に貼られた全文拡大コピーに太い青色ペンで線を引き「『大魚は、この海の命だと思えた』とある。太一は瀬の主であるクエを殺したら、自分も海で生きられなくなると思ったんじゃないか」と、説明する。
 今度は女の子が二つの言葉をペンで囲み、つなぐ。「私もそう思う。この『自由な世界』と『海の命』はつながっている」
 「そうかな。私はクエをおとうだと思って殺さなかったと思う」
 教師「でもクエはお父さんを殺したんだよ」教師も座っているときは、子どもと同等。立っている時だけ「先生」になる約束だ。
 「えー!」「でも!」「違う!」「海の命が太一を試したんだ」
 白熱する議論に、子どもたちの心拍数も上がっていく。
 25分でタイムアウト。みんな自主的に席に戻り、ノートに課題の答えと感想を書く。
 言語活動を通して読解を進める方法は、新学習指導要領のめざす内容だ。
 教師「読解に正解はない。考えを交流させる素晴らしさを感じてほしい」
 授業で「つなぐ」のは、子ども同士の議論だけではありません。今回の単元なら「命」や「漁師」という言葉もつないで広げたい。そこから連想する言葉をどんどん放射状につなげて書いていきます。出た言葉のうち関連のあるものを線でつないだり、さらに浮かぶ言葉を周囲に書いて、どんどん網の目のように広げていきます。
 それを授業で読み深めた後、再び「命」と「漁師」でつなぐ。そうすると、出てくる言葉や広がりがまったく違う。言葉がつながり、生きてくる。量だけでなく、質が高まります。
(
岸田 薫:横浜市立小学校教師を経て横浜市教育委員会指導主事)

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