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保護者に良いイメージを持ってもらうには、「日常の細かいこと」を保護者と共有することが大事

 四月の時点で、保護者は新しい担任に関する情報を、これまで担任をしてもらった親や前任校の分も含めて様々な方法で入手し、「あの先生はどんな人か」という担任に対するイメージがウワサを元にして形成される。このイメージは情報元をそのまま反映されるため、誰から情報を入手するかによってイメージが変わってくる。
 ひとりの先生について肯定的な印象と否定的な印象を持つ親はどちらも当然、存在している。どちら側から情報を入手するかによって、その先生に対する肯定的なイメージか否定的なイメージかが決まる。偶然そのものであるといえる。
 実際に新学期がはじまると、連絡帳や子どもの話を通じて担任の発言や行動が保護者に伝わってくる。
 担任が子どもをちょっと厳しく叱った場合、保護者に「いい先生」というイメージがあるときは、「何か考えがあって叱ったのだろう」と考える。反対に保護者に「悪い先生」というイメージがあるときは、「やっぱり悪い先生だ」、「原因はウチの子じゃなくて先生の方にある」となる。
 保護者の関心は、「わが子のことをちゃんと見てくれているかどうか」です。日常の細かいこと、たとえば連絡帳に書かれた担任のことば、クラスの些細な決めごとや理由、授業で使うために家庭から持っていく教材などで、安心したり不安になったりする。
 日常の学校生活は、要するに「細かいこと」の積み重ねであり、だからこそ、同一の発言や行為が、時には正反対に解釈されることがあるわけです。
 担任に対する保護者のイメージは、なかなか変わりにくいものだと思います。「いい先生」「悪い先生」という最初のイメージが実際の人間関係にも影響を及ぼします。
 「悪い先生」のイメージを加速させる要素としては、先に述べた「影響力のある保護者がたまたま「悪い先生だ」というイメージをもってしまい、それが広がっていくことが考えられます。
 悪循環に陥らないようにするには、やっぱり「日常の細かいこと」を大事にするしかないと思います。
 例えば、親が連絡帳に「今日はウチの子はお腹が痛かったみたいです」と書いていたら、担任が連絡帳に「ああ、それで元気がなかったんですね」と書かれて返ってきときは、「ああ、先生はウチの子のことをよくみている」と親が思う。
 逆に、子どもを休ませたときに、保護者が急いでいて連絡帳に理由を書けなかったとき、次の日の連絡帳に休んだことについて担任が何も書いていないときは「先生はウチの子のことはどうでもいいのかなぁ」と思ってしまう。
 こういう、本当にちょっとしたことで保護者は安心したり不安になったりします。「この子、今日は元気がないなぁ、どうしたのかなぁ」と思ったのは同じだとしても、それについてやりとりするかどうかによって、保護者の印象はかなり変わってくるようです。
 やっぱり連絡帳で子どもの様子をできるだけ細かく伝えておく方がいいのではないか。そうすれば、「悪い先生」だというイメージを持っていた保護者でも連絡帳を読み返してみたときなどに、「ああ、この先生、案外、わが子のことをちゃんとみてくれていたんだな」と感じることがあるかもしれない。
 そうすれば、その保護者が「悪いウワサ」の発信源になっていたとしても、肯定的な評価につながり、結果的に「悪い先生だ」とイメージする保護者が減っていくのではないか。
 また、参観日や懇談会、家庭訪問のあり方を考え直すこともアリかもしれません。それでもやっぱり大事なのは、「日常の細かいこと」を保護者と共有することだと思います。
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小野田正利:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいる)

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