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保護者のクレーム対応「さしすせそ」、実際の具体的な対応とは

 保護者のクレーム対応の「さしすせそ」は「最初が肝心、しっかり傾聴、素早く動き、正確な記録をとって、組織で対応」することです。
(1)
最初が肝心(初期対応)「さ」
 初期対応のあり方が、その後の対応の成否を決定します。初期対応で「あのとき、あそこまでしてくれた」といった保護者の好印象は後々まで続きます。子どもの心のケアは即時対応が原則です。子どもの苦痛があった場合など、一刻も早い対応が求められます。
 適切な初期対応によって、別のクレームが出るのを阻止することができ、問題の拡大を防ぐことができます。誠意が感じられない対応を受けたら「上司を出せ」という思いになります。
(2)
しっかり保護者の話を聴く「し」
 一方的に教師を責める保護者はまれで、大多数の親は、必死に子育てに励んでいます。
「何を訴えたいのか」「何を望んでいるのか」保護者の話に耳を傾け、聴きもらさない姿勢で臨むことが大切です。真摯な傾聴、具体的な改善策、解決に向けての誠意ある対応が必要です。
(3)
素早く行動する(判断・決断・実行)「す」
 「先んずれば人を制す」と言います。教師を攻撃するのに生きがいを感じている親もいます。教育委員会に訴えるのは、こうしたタイプの親です。そこで、先に教育委員会に一報をいれておきます。これが先制です。
(4)
正確な記録「せ」
 心の問題が懸念される保護者は、専門家に相談することになります。訴訟になった場合も必要となるのが、詳細な記録です。記録はありのままを具体的に書き残すことが求められます。「興奮して『すてせりふ』を残して帰る」と書くより「事務室まで聞こえる大きな声で『ばかやろう!』と叫ぶと、校長室のドアを激しい音を立てて閉めた」と、表現したほうがあとで役立ちます。
(5)
組織で対応「そ」
 「一人で何もかもできる人はいない」の原則に常に立ち返り、管理職や同僚に相談し取り組む必要があります。クレーマーの人間関係を把握し、クレーマーに適切な働きかけをしてくれる人物を探します。クレーマーが親族や地域の人(議員・人権や法曹人・マスコミ関係者)を同行してくることがあります。その場合、教師が身構えて拒否的な態度をとることは得策ではありません。誠意ある真摯な姿勢で向き合うことで、その人が仲介役として活躍をしてくれた事例もたくさんあります。
 理不尽な要求には、はっきりと「NO」と言わなければなりません。一つの要求をかなえると、そういった親の次なる要求はレベルアップします。また、クレーム対応の三原則「時・人・場所の制限」は譲ってはいけません。「夜の12時過ぎの飲食店への呼び出し」に応じたりしていると、相手のペースに巻き込まれ、心身ともに疲れ切ってしまいます。
 実際には、次のような対応が必要です。
 話し合いは、相手が指定した場所ではなく学校の応接室などを利用する。ドアを開け放ち「多くの人の目」にさらす。相手より多い人数で臨み、応対・記録・連絡の役割を明確にしておく。
 応対担当は二名とし、一人は学校の主張をはっきりと伝え、もう一人は双方の「仲をとりもつ」役割を担う。要求が出された場合、あいまいな部分は「○と理解しましたが、よろしいですね」と確認する。「○については、△とお答えします」と明確に返答する。即答できないことはその旨をはっきり告げる。
 文書による謝罪や要求の承諾は絶対に応じない。脅迫・暴行が懸念される場合は、教育委員会を通して弁護士に相談するなり警察に届けておく。脅迫・暴行があればすぐ警察に連絡する。
 学校全体で情報交換を緊密に行い、組織的対応を行う。電話・話し合いを録音するなど記録を残す。同行者は所属・氏名・役職などを確認する。それが不可能なときは、身体的特徴や車のナンバーなどを記録しておく。執拗に電話やいやがらせの面会を要求されたときは、仮処分の手だてを弁護士に相談する。
(
嶋﨑政男:1951年生まれ、東京都立中学校教師・教育研究所指導主事・中学校長等を経て神田外語大学教授)

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