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けんかが起きた場合どのように指導すればよいか

 集団生活をしていれば、意見や感情のぶつかり合いが生じます。子どもは自分の思いを素直に表現します。ケンカが起きて当然です。ですから、ケンカを防止するのではなく、「子どもはケンカをするもの」と考えて、子どもを見守り、日ごろからケンカへの対応を考えておくことが大切です。
 子どもにとってケンカは、人間関係を学ぶ大切な場です。ケンカによって相手の気持ちを理解したり、仲直りの方法を学んだりするのです。子どもはけんかで様々なことを学ぶ。教師は「けんかは子どもの学びの場」という認識をしっかりもっておくことが大切である。
 けんかを止め「けんかはいけません」と叱るのは簡単なことである。しかし「子どもに何を学ばせたいか」ということを考えて指導することが大切である。
 
それでは、けんかがおきたとき、具体的にどう指導すればよいのでしょうか。
1 けんかが起きたとき
 教師がけんかの最初に仲裁するのは、子どもから学びの場を奪うことになりはしないだろうか。教師がいるところでけんかが始まったら、少し距離をおいて、その様子を観察するように心がける。何が原因でもめているのか、互いの言い分はどういうことか。観察することが大切である。感情が高ぶって暴力に発展しそうなときは止めに入る。
2 けんかが終わった後の指導
 ケンカが終わったら、少し時間を空けて、子どもが落ち着いてから、双方に何が原因でケンカになったのか、相手がどのような言動に腹が立ったのがを言わせるようにします。
 その後で、「自分の悪かったところはどこか」、「どうすればケンカにならずにすんだのか」を考えさせます。
 子どもに自分の行いを考えさせるような叱り方をすることが大切である。
(1)
けんかに至った経緯を聞く
 必ず当事者全員から話を聞く。できる限り周りで見ていた子から情報を集めるようにする。状況を詳しく客観的に知るように努める。
(2)
互いの言い分を聞く
 けんかには互いの言い分があり、それを聞くようにする。大切なことは、教師は司会者に徹することである。子どもの話に口をはさんで「それはいけない」と説教じみたことを言ってはいけない。言い合いになりそうな時だけ「今は、○○さん話を聞いているから黙っておくように」とたしなめる役割をする。
(3)
原因を追究させる
 相手のどのような言葉や行為に腹がたったのかを聞き出す。もちろん、当事者全員がいるところで聞くのである。「こんなことが友だちの気を悪くさせるのだ」ということに気づかせるためである。
(4)
非を認めさせる
 「自分の悪かったことはどこか」を考えさせることはとても大切である。教師に対する説明という形なので「悪かった」という言葉が抵抗なく言える。相手に謝らせるよりも、よほど効果的な謝罪になる。
(5)
基本的には両成敗
 対等なけんかは、暴力があった場合を除けば「両成敗」である。
 自分の悪かったところを反省し、相手の立場も理解させることができるように指導するのが教師の役割です。
 子どもを納得させることが、ケンカ対応のポイントです。ケンカは子どもを納得させて下校させることに尽きます。
 「ぼくも悪かったよ」と言われれば、保護者も納得です。少し気になる場合は、念のため、連絡帳や電話で保護者に伝えておくのも良いでしょう。
(
中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教師を経て、奈良市立小学校教頭。
「子どもを伸ばすためには、叱り方が大切」と「叱り方研究会」を立ち上げた)

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