子どもを育てるには教師の面白さがどうしても必要、人間はその気になれば性格だって変えられる
子どもを育てるのに必要な教師の面白さ(愛嬌)は、どのようにすれば身につけることができるのでしょうか。
人間というのは暗示に弱いものです。特に子どもは暗示に弱いです。「きみは顔色が悪いね。きっとどこか悪いのではないの?」といったことを、毎日毎日言い続けて、暗示にかけると、本当に病気になってしまいます。
そこを逆に利用するのです。暗示に弱いことを逆に利用して、暗示効果をあげるのです。
「あなたって本当に面白いね。どんどん明るくなったね。見ているだけで楽しくなるよ」
こんな暗示を毎日かけていたら、本当にそうなることは間違いありません。私は、クラスの子どもたちに、こんな暗示をかけて面白い子を育ててきたし、やさしさを引き出してきました。
私自身のことを考えても、子どもの前では、明るく生き生きと、だじゃればかり飛ばして子どもを楽しませる努力をしてきました。
努力しているうちに、気がついたら、「クラスで一番のネアカは、何と言っても先生ですね。とても先生の明るさ、面白さにはかないません。やはり、亀の甲より年の功ですね」と言われるようになっていました。
人間、その気になれば、性格だって変えられるものです。
新聞を見ても、テレビを見ても、電車に乗っていても「面白いこと」が目に飛び込んでくるようになるには、それなりの修業が必要です。
いつも「面白いことはないか」という目で何でも見ていると、しだいに目に飛び込んでくるようになります。
日本画家の東山画伯は「風景が、絵にしてくれと語りかけてくる」と言っています。この心境に達するのは容易ではありません。しかし、これに近い状態にすることは誰でも可能です。一緒にいるだけで楽しくなるような人がいます。こんな人は、ユーモアの達人と言ってよいでしょう。
一度の人生です。楽しく生活できた方がいいですよね。それは「心の持ちよう」で決まります。
ユーモアとは、その人そのもの、人間性という感じがします。
いくらいい話をしても、面白みがなければ一生懸命聞いてくれません。相手にきっちり内容を伝えたり、子どもを育てたりするには、どうしても面白さが必要になります。
この面白さを自然に出せる人間になりたいものです。それには、人間そのものを鍛えなくてはなりません。ユーモアで楽しく鍛えましょう。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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