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いじめに立ち向かうには、どのようにすればよいか

 わたしは子どもの頃、いじめられっ子でした。それなのにいじめをしたこともあります。いじられることの辛さ、いじめた人がずっと後から味わう後悔、その両方を知っています。
 はじめはおもしろがって、からかい半分がいじめの入口になっているというケースが多い。いじめの入り口は、日常的なところにあるのです。
 いじめの本質は、何かと理由をつけて、その人を攻撃し、仲間から排除することにあります。シカトや仲間はずれなどはその典型です。まわりの人は、自分がターゲットにならないことを考えるから、助け舟を出すことができない。
 いじめはターゲットが頻繁に入れ替わります。いじめの現場には、ピリピリした綱渡りのような人間関係があるのです。
1「いじめが起きたとき」学校にできること
 いじめは必ず起こり得ることを前提に、いじめをどう解決するか、という点に心を砕いてもらいたいと思います。
 いじめは教師のいないところで陰湿に行われるので学校が把握するのは容易ではありません。子どもに、なにか気になる点があれば、「いじめかもしれない」と疑ってみることです。兆候があれば、子どもを呼んで話を聴いたり、アンケート調査をするなどして実態把握につとめます。
 いじめ被害者から話を聴くとき、尋問調、詰問調になるような質問は避けるべきです。大切なのはいじめられた側がどう感じたのかというところです。
 いじめをする子は、さまざまな問題を抱えている場合が多い。しかし、いじめをした子の問題を把握しても、それを取り除くのは時間もかかり簡単ではありません。いじめをストップさせることとは切り離して考えるべきだと思います。
 いじめをしている子をヒヤリングして、いじめにあたる行為が確認されたら、いじめられた子はどのように感じて苦しんでいるのかを伝えます。多くの場合、ここで、いじめた子なりの理由が出てきます。まさに「いじめられる側も悪い」という主張です。これに対しては、教師は毅然と否定しなければなりません。ここで曖昧な対応を取ると、いじめをやめようとしなくなります。「どんな理由があってもいじめは許されることではない」といった強い態度がいじめをストップさせるのです。
 いじめは、傍観者といった周囲の子どもも含めた問題です。ですから、クラス全体の問題として学級で、いじめ事件について具体的な討議をして「いじめは絶対に許さない」という強いメッセージを発信する必要があります。メッセージの持つ説得力で、いじめが収束するか、それとも悪化するかが決まってくると言っても過言ではありません。
2「自分がいじめにあったら」どうすればよいのでしょう
 いじめを受けているとき、その人のプライドは、ズタズタに傷つけられています。自分なんかいない方がいいとさえ思わされてしまい、自分の殻に閉じこもっていきます。だれにも相談できず一人で抱え込んでしまいます。
 いじめられている人にもっとも必要なのは「受け止めてくれる人」です。例えば、学校の先生、親、友だちなどです。しっかりと受け止めてくれる人に話を聞いてもらわなければ、自分の存在が消えてしまうような恐ろしい闇から抜け出せません。
 もし、まわりに受けとめてくれる人がいないときは、電話相談が大きな役割を果すことができるのです。文部科学省や各教育委員会、民間ボランティアのチャイルドラインに電話相談が設置されています。電話相談のよいところは、匿名でかけられ、あとから「あんなこと話しちゃったけど大丈夫だろうか」と心配しなくてすみます。学校で電話相談のカードが配布されたとき、大事にとっておいて、何かあったときに気楽に電話をかけられるようにしてもらえたらと思います。
3「まわりでいじめが起こったら」どうすればよいのでしょう。
 いつか自分がターゲットになるかもしれないというピリピリした雰囲気の中にいることが、大きなストレスになっています。ですから、仲間をさがして、何人かで一緒になっていじめを止める勇気を持ってほしいと思います。
 また、いじめを止めるのが難しい場合は、「受け止める人」になって「あなたは一人じゃない」と手紙を書く、話を聴く、ことはできます。
4 「わが子がいじめを受けたとき」親としてどうすればよいのでしょうか
 親は「うちあけてくれてありがとう」という言葉をわが子にかけてあげましょう。子どもの話をじっくりと聴き、きちんと受け止めて、共感します。あなたがいてくれるだけでうれしい、あなたが大切だ、ということが、わが子に伝わるようにします。
 「しっかりしないからよ」などという説教は子どもを追いつめることになります。「がんばりなさい」という励ましも禁物です。「がんばれ」と言われても、何をどうがんばればいいのかわかりません。無条件に受け止めることが大切です。
 わが子の話に親が興奮せず冷静に聴くようにします。質問攻めにすると話がそれていきます。事実関係の正確な把握は後日、別の機会にします。
5「わが子がいじめを受けたとき」親が学校とどう交渉すべきか
 いじめは程度の差や深さはまちまちです。子どもの意見をまず第一に考えて決めてください。親が交渉すると決まった場合、担任だけではなく学校全体の問題として相談するべきです。準備として、いじめの事実(5W1H)をわが子から聴き取ってまとめておきます。ケガの診断書や壊れた物なども揃えておくとよい。
 話し合いの目的は、いじめを止めることです。子どもが元気に学校に行ける環境を作りあげることです。ポイントは学校の責任追及や、いじめた子を罰すること、謝罪などにこだわらないことです。形だけの謝罪を求めても、それでいじめが収まるものではありません。さらに悪化することにもなりかねません。
6「わが子のいじめで」親が学校との交渉がうまくいかないとき、どうすべきか
 学校との交渉がこじれてうまくいかないとき、第三者の活用することを考えてみます。
 教育委員会は、学校が不適切な対応を取って事態が改善されない場合に有効です。
 いじめ問題がこじれ、この学校には通いたくない、となったら転校を考えることになります。転校は新しい環境に入るわけですから、子どもの不安も大きいものです。子どもの意見を最優先に決めてほしいと思います。
 いじめによっては、犯罪行為が絡むことがあります。恐喝罪、傷害罪、暴行罪などひどい場合は警察に相談してもよいかもしれません。もし警察に動いてもらった場合、人間関係の修復は極めて困難になるでしょう。
 学校との話し合いが感情的に対立し、うまくいかない場合、いじめ経験のある弁護士に委任することができます。メリットは冷静な話し合いをすることができる点にあります。ただ、学校によっては弁護士が口を出すことに拒否反応が強い場合もあり、うまくすすまない場合も出てきます。
(
平尾 潔:愛知県生まれ、サラリーマンを経て弁護士。子ども事件を多く手がけ、いじめ授業を10年以上行っている。子育て支援団体「こうとう親子センター」理事)

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