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子どもたち全員の学力を向上するには、教師はどのようにすればよいか

 今はうるさく言う教師が少なくなった。昔は先輩教師にとやかく言われた。「うるさいなあ」と思った。そのときは苦しかった。今になってようやく良薬だったと気づく。私が心がけてきたことは次のようなことである。
(1)
明確な到達目標を決める
 私は塾で中学生を教えたことがある。できない生徒は他の塾へ行く。それに比べると公立学校の我々は甘い。子どもができない原因を自分の授業の責任にする教師は少ない。
 何ができて、何ができないのかを明らかにする。そのために何をするか。明確な到達目標を決める。そして授業で指導と評価をくり返す。そうすると子どもはできるようになる。例えば国語科で次のような到達目標を決める。
 メモを見ないで一分間のスピーチを行う。一分間で、低学年は20字、中学年は30字、高学年は40字程度の速度で視写をする。10分間で、低学年は200字、中学年は300字、高学年は400字程度の速度で文章を書く。つまずかないで教科書をすらすらと音読する。国語テストで、いつも90点以上をとる。
 
このように明確にする。これらを一年間でできるようにすればよい。子どもができるか、できないかを大人が評価する。できたらほめる。できなかったら更に励まし指導する。できるまで何度も楽しく練習させる。
 明確な到達目標だと「できない子がはっきり」する。何も国語科だけの話ではない。全ての授業で子どもたち全員に身につける明確な到達目標を教師が決める必要がある。子どもたちの実態から明確な到達目標を決める。そして授業を計画し、指導と評価をくり返す。すると子どもの学力が向上する。
(2)
話し方を磨く
 授業では教師の話し方が手本である。私は自分の話し方に自信がなかった。話し方を磨きたかった。そこで野口芳宏先生の講演会や公開授業へ頻繁に出かけた。「『ええと』とか『ああ』とか余計なことを言わずに短く話す。ゆっくり、はっきりと話す。子どもたちを見ながら、全員に届く声で話す」このようなことを何度も学んだ。そして今でも毎時間の授業で、話し方を磨くことを意識している。毎日が修業である。
(3)
子どもの発話を増やす
 教師は授業で話しすぎる。そんな授業では子どもの思考は止まっている。できだけ教師の発話を減らしたほうがよい。討論のように子ども同士が発言し合う授業を組織すれば、教師の発話は少なくなる。しかし、教師の話が少なければよいというわけでもない。「活動あって、指導なし」の授業と呼べない授業ではいけない。ポイントを押さえた少ない指導言で子どもたちの学習活動を組織する。すると子どもの発話が多くなり、学力が向上する授業となる。
(4)
日々学ぶ
 私は子どもの学力を向上し、楽しい授業をめざすために日々学ぶ。月10冊以上の本を読む。授業記録を毎日書く。毎月原稿用紙100枚以上の教育論文を書く。月に二回、複数の教育サークルに参加し運営する。
 しかし、まだまだ勉強不足である。もっと学びたい。学ぶ楽しさを知らない教師が学ぶ楽しさを知る子どもを育てられるわけがない。教師自ら学び、教材や授業を開発する楽しさを知らない教師と、その教え子はかわいそうである。
(5)
場面で言葉を使い分ける
 子どもは大人に対する言葉の使い方がわからない。教師がきちんとした言葉の使い方を教えなくてはいけない。ところが、教師がきちんとした言葉の使い方をしていないことがある。例えば「~してください」。これでは子どもに対する依頼である。指示は依頼ではない、強制して、させるのだ。「~する」「~しなさい」と、すべきである。
 教師はこのようにキッパリと言う。すると場の緊張感を生み出すことができる。
(6)
休み時間に一緒に遊ぶ
(7)
自らの授業を評価し、改善に努める
 テストの点数が低いのは教師の責任である。思ったように授業ができないのは授業をしている教師に問題がある。自らの授業の何が問題なのか。どうするとよいのかを考える。毎時間の自らの授業を評価し、改善する。すると学級崩壊を招く教師の対極に立つ教師の自覚が生まれてくる。
(
柳谷直明:1961年北海道札幌市生まれ、北海道公立小学校校長。「鍛える国語教室」研究会空知ゼミ代表) 

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