子どもたちの記録を取ると、思わぬ発見があり、子どもの変化が面白くイライラしなくなり、次の手が閃き教育が面白くなる
子ども一人ひとりの記録を取りましょう。その方法はいろいろあります。その場でその子を見て思ったことを座席表(B4版)に授業後に書くと記憶が薄れないうちに書くことができる。これなら楽です。寝る前に思い出して書く。これはかなり厳しいです。
子ども一人ひとりの記録を取るのは、最初は難しいものです。放課後、子どもがいなくなった教室で記録を書くと、書けない子がいるのです。5人くらいがどうしても思い出せません。自分を責め次の日、その5人の子どもと遊びました。このようにして毎日挑戦して、2週間たつと、一人残らず記録できるようになりました。
「授業の記録にそんな意味があるんですか?」と記録を取らない人は言います。記録を取ると、思わぬ発見があるのです。それが大切なのです。記録を取ると、子どもの変化がおもしろくなって、多少のことでイライラしなくなります。そして、見たことを、次の手を打つために使うんです。
たとえば、授業の準備です。「どうして準備しないの!」と怒ってばかりいませんか。怒るよりも、子どもを見てみましょう。筆箱を出している子が何人いるか、数えればいいんです。「どうして、あの子は筆箱を出さないのかな」「指示されても出さいな」「じゃあ、どうする」と、次の一手を考えるようになるんですね。
私の場合、その子の筆箱を先に出しておきますね。それを続けます。そのうち「何で出てるんだろう。あっ、先生か」と先生の顔を見ます。その瞬間にこっとします。自分で出すまで続ければ済むことです。これが個別指導なんです。
実践する中でいろいろ見えてきます。それって楽しくありませんか。私は楽しいですね。もう20年以上やっていますけど、飽きません。「よーし、次はこうするぞ」と考えるのが楽しいのです。そのうち、子どもに響く「次の手」がぱっとひらめくようになります。一度この味を覚えると病みつきになります。教育はおもしろい。
すべては「子どもを伸ばす」ために、力を集中しましょう。教師の力量が上がれば、不可能なことが可能になります。驚くほど子どもが伸びます。
そのためには、教師が活き活きすることです。学級がよくなるかどうかは「教師が活き活きしているかどうかにかかっている!」と思います。いつも疲れている、難しい顔をしている。こういう学級は停滞していますね。
私の知りあいは、活き活きしている人が多いです。楽しくてたまらないという様子なのです。こちらまで楽しくなります。子どもたちも楽しいに違いありません。「たのしい」というオーラが出ているのです。それが子どもに伝わります。
私も同様です。楽しくて楽しくて仕方がありません。今また「こうやろう」「ああやろう」とわくわくしています。自分が努力した分、子どもがよくなります。工夫すれば、子どもがよくなります。教師次第で、子どもはよくも悪くもなるのです。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都の小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)
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