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クレーマー化する親に教師は心身共に疲労している、その対応方法を教えます

 無理難題な要求をしてくる保護者がいる。いくら保護者の要求であっても、学校としては、できないことはできないと返答するしかない。ところが「できません」と言うと保護者がものすごい勢いで怒り出し、苦情になる。そして苦情はあっという間にエスカレートし、教師の力量がない、問題教師などと個人攻撃に転化し、おさめようとしてもおさまらない。何度話し合っても解決できない。
 そして、いつの間にか教師個人への誹謗中傷へと姿を変えていく。教師たちはそうした保護者たちによって心身共に疲労し、心の底からおびえてしまい人生の危機を感じている。
 学校は保護者との信頼関係を失ってはならないと、事態が悪化しても、学校内で誠実に対応することで、何とか解決しようと努力している。しかし、教師がどれだけ誠意を持って対応しても、事態はエスカレートするばかりである。
 私は思った。教師たちに教えてあげなくてはならない。それは保護者という名のクレーマーなのであって、学校がすべきことは、誠意ある対応や丁寧な謝罪ではなく、クレーマー対応なのだということを。
 モンスターペアレントには二種類あるということを知っておかなければならない。まず、「うちの子さえ良ければ」といった保護者でありながら悪質なクレーマー、もう一種類は、病的な親である。
 病的な親を見きわめるポイントは、要求がすぐに苦情に転化し、誹謗中傷にエスカレートしていく。一日に何度も電話をかけてくる。自分は絶対正しいと自信と確信に満ちている。つくり話を理由に苦情をいう。苦情の内容が妄想的である。といった特徴がみられれば病的である可能性があり、誠意を持って対応すること、謝罪することが逆に苦情をエスカレートさせる可能性がある。
 では、保護者でありながら悪質なクレーマーであるモンスターペアレントにはどう対応すればよいか。基本は「毅然とした態度をとり続ける」ということである。「そんなことはできません」と答えることである。曖昧な返事は絶対に言ってはいけない。「言った、言わない」が始まるとクレームは長期化しエスカレートする。
 謝る理由がないのに謝ってはならない。もちろんこちらに何か謝るべき理由があるのなら、真摯にあやまらなくてはならない。火のないところに煙を立てるのがクレーマーたちである。事実でないことはきっぱりと否定する必要がある。
 絶対にできない要求は否定すべきである。例えば年度途中のクラス替えといった要求である。特別扱いは絶対にしてはいけない。他の子どもと違う扱いを少しでもすれば、要求はエスカレートするだけである。
 誹謗中傷が広まっている場合は、「噂は全くの事実無根であると学校は把握している。その件については今後一切、調査は行わない」と断言する。この件に関しては、もう学校を脅かせないのだ、とクレーマーに学習させるのである。
 事実の判明しないクレームの苦情の対応は難しい。例えば「先生のひと言に、子どもが傷ついて学校に行かれなくなった」などがある。教師に思いあたることがなくても、子どもは傷ついているのかもしれない。教師がすべきことは、子どもと話し合うことであり、子どもがもう一度元気に通えるようにすることである。その目的は親と教師で一致するはずである。親と教師は敵対してはならない、話し合いを重ねていくことが必要である。
 こうしたクレーマー対応をするためには、学校は組織として対応しなくてはならない。だから教師個人がクレームを言われたら、絶対に個人で対応してはならない。確実に相手のペースに巻き込まれ、精神的に追いつめられてしまうからである。また苦情がエスカレートしてから校長の耳に入る方がより悪い結果を生んでしまう。だからこそ、初期の段階からクレーマーの被害にあっていると告白する必要がある。
 混乱をさけるためも必要なときに誰でも見られる形に記録をつけておくと良い。クレーマーに何らかの返答を求められたとき、相手の言ってくる期日で約束してはならない。相手のペースに乗らないために、非常に重要である。
 こうした対応で最も必要なのは教師間の信頼関係である。クレームを受けている教師は被害者なのだという意識を一致させる。職員全体で情報を共有し対応することで、被害にあっている教師は支えられていると思うことができ、安心できる。
 「訴えてやる、マスコミに言う、議員を知っている」という言葉はクレーマーの常套手段で、誰しもおびえる。しかし、この言葉に全くおびえる必要はない。クレーマーは誰も取り合ってくれない内容であることを知っている。気にすることはない。もし仮に訴えられても負けることなどあり得ない。弁護士が間に入ってくれたら、直に話をしているよりも話は早くなる。マスコミも無茶苦茶な主張をする人間を信じるはずがない。議員も票の獲得のため電話をかけることぐらいはあるが、苦情を言い続けるなんてあり得ない。
(
山脇由貴子:1969年東京生まれ。東京都児童相談所児童心理司。年間100家族以上の相談や治療を受け持つ臨床家。臨床現場の生の声を発信し続ける)

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