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教師力を高めるために教師はどのような修業をすればよいか

 教師が伸びたいと思うならば、伸びる環境をつくることだ。人から与えられるのをまっていたのでは、いつできるかわからない。研究サークルをつくって、勉強する環境を自らつくるとよい。初めは二人でもよい。二人で相談し考え合い、勉強し合うことである。一人でするよりはるかに張り合いがある。
 ある教材を教材化してみようと考えたとき、こんな見方もあるのかと目を開かれる。人数が増えるともっと面白い見方をする人がいるだろう。ただし、あまり人数が多いとうまくいかない。適当な人数というものがあるだろう。サークルをつくって伸びている教師が多いことは証明されている。細々とでもよいから継続することが大切である。
 教師は感性のにぶい人が多いといわれる。私も随分に「にぶいですね」といわれてきた。日本人らしさの一つに「察する」ということがあった。この「察する」とい文化がすたれてきた。感性がにぶくなった証拠である。人間は感動するから動く。人を動かすには感動させなければならない。教師の感性が鋭くなれば、子どもの感性はまたたく間に鋭くできる。
 子どもの感性を駄目にしているのは教師ではないか。私は自分をふりかえっても自責の念にかられる。私は自分の感性をみがくために、子どもに学んできた。子どもに学ぶことで、にぶくなっている教師の感性をみがくことができる。
 「子どもの心をとらえられる教師」が求められている。子どもたちをめぐる環境が複雑になり、子どもそのものも変化してきている。「子どもの心のとらえ方」といった特別の勉強法をしなければ、とてもとらえられなくなっている。子どもの変化を的確にとらえ、これに対応できる技術と人間性をみがかなくてはならなくなっている。
 教師というのは「教えることについては熱心だが、自ら学ぶことに熱心ではない」といわれる。「進みつつある教師のみ、人を教える権利あり」ということばがあるように、常に修業を積み、伸びようとする必要がある。そうしない人は教師としての資格はないことになる。私は常に「何か学ぶべきものはないか」という目で見ている。こういう目で見るとよく見えるように思う。他人に学び、本に学んでいる。
 教師は、大きく分けて、二つの修業をしなくてはならない。一つは専門性を高めるための修業である。二つは人間性を高める修業である。これまでの教師修業は専ら専門性を高めることに重点がおかれてきた。教師の心が豊かでなくては、子どもたちの心を豊かにすることはできない。いわゆる人間性の修業が大切になってくる。
 人間性をみがくには、哲学書を読むこともよいし、小説をよむことで、人間の生き方を深めることになるし、人間性を豊かにすることになる。いろいろな職業の人と接することも人間性をみがくことになるだろう。
 一人の人間として子どもの人格を認めてつき合うことが、教師の人間性をみがくのに一番効果がある。教師修業は、「子どもと、どうつき合うか」ということが出発点である。子どもを「先生」と思ってつき合っていれば学ぶことが多い。私自身の教師生活をふりかえってみても、子どもから「ゆさぶられ、教えられ、けなされ、ほめられ」ながらやってきた。これが修業だったのである。
 教師は自分の弱いところに挑戦してみるとよい。挑戦するということは、新しい自分を創り出すということである。挑戦のない修業なんてありえない。
 子どもから「授業が面白くない」といわれ、面白くするため必死で教材開発をし、指導法を勉強した。子どもから「先生は冷たい」といわれ、あたたかい人間になるための努力をした。「先生は、黒板の字が下手で、読みにくい」といわれ、板書の練習し、書道の練習をした。公開授業も研究授業も、数えきれないくらいやった。しかし、いまだに「これで満足」という授業ができないでいる。
 考える授業、追求する授業になじまない子どもを前にして「どんな教材をもってくれば追究するのか?」と、くる日もくる日も考えた。まともな教材では、追求しそうではないので、少し変わった側面から切り込むことにした。
 まず、学校の便所の数・便器の数から切り込み、東京駅の便器の数を提示した。子どもたちは意表をつかれたらしく、追求し始めた。面白いといい始めた。これは「水道の学習」をするための導入なのである。私は数量的な追求の面白さに気づき、子どもに追究させる糸口のようなものを見つけた。
 「バスの運転手は、どこを見て運転しているか」という、発問を考えての授業をした。子どもたちが熱中し、くいついてきた。この授業のVTRも販売された。このうえなく楽しい授業であった。
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有田和正:19352014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)

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