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教師と子どもとの人間関係のつくり方の基本とは

 子どもたちとの人間関係を大事にしたいと思いますが、個性のある子どもたちに戸惑います。どうすれば子どもとよい人間関係が得られるでしょうか。
 子ども理解の基本は、一人ひとりの子どもに関心をもつことです。子どもの言動の背景には様々な事情があります。背景に何があるのか、家庭ではどんな生活をしているのか、友だちとトラブルがあったのか、など考えることが大切です。そうすれば「どうしたの?」の問いかけが自然と出てきます。
 子どもとよい人間関係を築くためには、いつも子どもの心情を感じ取りながら対応することが大切です。子どもが話しをしているときは、うなずき、「なるほど」などと相づちし、寄り添うようにして聞くようにします。
 子ども理解のチャンスを逃がさないようにします。何気なく子どもたちの会話に参加し、共感的な態度を示すことが心を通わせるきっかけになります。掃除や給食の時間は当番活動を子どもと共に行い、子どもの一面を発見しましょう。
 休み時間に、子どもと遊ぶことは、子どもにとってうれしいことです。遊びの中でみせる面を観察し、子ども理解を深める大切な仕事です。教室にいる子どもと、よもやま話の相手になって子どもの関心ごとや好きなことを聞きだすことも大切です。
 保健室に行った子どもがいれば様子を見に行きます。体調不良の子を親身に心配する姿を見て他の子どもも教師への信頼感をもつようになります。
 子どもを深く理解するには、多面的に見ることが重要です。一人の教師の情報収集には限界があります。子どもはいろいろな場面で多様な顔を見せるものです。子ども理解のためには、保護者はもとより、同僚教師、養護教諭など多くの人から情報をえることが重要です。
 個人と集団の二つの視点から子どもを観察しましょう。教師が子どもの長所を認めることで、子どもは行動に自信をもち、積極的に取り組むようになります。また、子どもが教師の温かい視線を感じることで、子どもと教師の好ましい人間関係をつくっていきます。
 授業が分かりやすく、発言などを通して自分が認められれば、子どもは自然に教師の力量や魅力を認め、敬愛するようになります。
 子どもに正しいことを理解させるために、ときには叱ることも大切です。肝心なところで叱れない教師は、信頼を得られません。子どもの安全を脅かす行為や人権を否定する言動などは許されないことを理解させましょう。怒鳴ったり、しつこく説教したりするのは、教師がたんに怒りをぶつけているだけで、心の通う人間関係を築くことにはつながりません。
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田中洋一:1954年東京生まれ、東京都公立中学校教師、指導主事・指導室長を経て東京女子体育大学理事・教授。中央教育審議会国語専門委員を歴任、21世紀国語教育研究会会長)

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