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教えることは難しい、子どもに学ぶ意欲をうながすにはどうすればよいか

 実際に何かを教えるということは、かなり難しいものだ。私は20歳代のころから家庭教師や塾のアルバイトで教えてきた。最初に塾で英語を教えた時、50人ほどいた生徒がみるみる減って、5人ほどになって、やめざるをえない事態に陥った。今から思うと、悪い教え方を次々と繰り出していた。その後、私はどうすればおもしろい授業ができるか日々工夫を重ねた。その結果、40歳代には、私は予備校のカリスマ講師として日本中に知られる存在になった。
 私は、教えるということは、「教える側の押しつけによって学ぶ側の自立を促すという矛盾した行為」だと思っている。教えるからには、学ぶ側が自分で考えよるようになるために強制しなければならない。しかし、ずっと強制していたのでは、学ぶ側は自分で考えようとせず、いつまでも他人の考えをうのみにし自立できない。その強制と自立とのかねあいこそが、教える技術のすべてと言っていいだろう。
 ところがそれがなかなか難しい。教える内容や教える相手によっても一律ではない。コミュニケーション力を用いて、相手の子ども一人ひとりの気持ちや理解度をその表情や態度から察し、説明の仕方を変えながら徐々に難しいことを教えていかなければならない。
 時には、プライドをくすぐったり、あえて傷つけたりして、学びたい気持ちを高める必要がある。そうしながら、だんだんと学びたいという気持ちを起こさせ、自分で考えるように促さなければならない。
 子どもに学ぶ意欲をうながすにはどうすればよいか。
 究極の方法は「教師が手本を見せる」ことだ。例えば英語を教えるとき、自分がどんなに英語を愛しているかを語り、英語の楽しさについて熱をこめて語る。それだけでも見本になるものだ。
 子どもに「自分で答えを発見するように導く」というのもひとつの方法だ。答えを発見する少し前まで、ヒントを出し、決定的なところは子どもが発見するように仕向けるのがうまい方法だ。子どもが優秀であれば、ほんの少しヒントを出すだけでよい。優秀でない場合は、ほとんど答えに近いものを教師が口にしてやっと気づくだろう。
 大事なことは、子どもに自分で気づいたように感じさせることだ。もっとも好ましいのは、子どもが読みとった以上のものを、その後、教師が見せることだ。そうすることで、子どもが自分で発見すると同時に、いっそう高い次元があることも学び、教師の能力を信頼するようになる。
「短期的な目標を与える」ことも有効である。短期的な目標を持たせ、それをめざして努力するうちに一人ひとり力を伸ばし、達成感を味わわせる。すべての教育の基本はそこにあるといっていいだろう。
「ゲーム感覚で練習させる」こともよい。何かを身につけるには反復練習が不可欠だ。しかし、どうしても単調になり身が入らない。それを長続きさせるのにもっともよいのは、ゲーム感覚で練習させることだ。
 ゲーム感覚を取り入れることで、楽しみながら学ぶことができる。もっともシンプルなゲーム感覚といえば「競争」だ。他者との競争ではなく「時間を決めてその間にどれほどできるか競う」こともできる。それ以前の自分の記録との競争ということになる。
「間違い探し」をすると楽しんで学習することができる。「おかしなところが五か所ある」と探させると興味を持って間違いを探そうとする。
 何かを教えた後には、必ず「復習テスト」をするのが好ましい。それをしないと、学習したことが整理できず、いつまでも定着しない。例えば、その日の最後に、その日教えた内容の重要ポイントをテストに出す。毎回必ず行うようにしておくと、教えている間も緊張感が持続する。五問くらい、穴埋め問題などで出題する。「四問できたら合格。それ以下なら、もう一度やり直し」そうすれば、子どもは気合いを入れてテストに取り組む。
(
樋口裕一:1951年大分県生まれ、塾、予備校、京都産業大学客員教授を経て、多摩大学教授。全国で文章指導を展開し、小論文・作文の指導者として知られ小論文の神様と呼ばれる。小論文と作文専門の通信指導塾「白藍塾」塾長でもある)

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