教師が保護者の心をつかむには、どのようにすればよいか
私が保護者と関わるとき、常に意識していることは、保護者を自分のファンにするということです。伝えるべきことは伝え、楽しませるときは楽しませる、一歩筋の通った一目置いてもらう存在になるということです。
教師の仕事に熱意を持つことはとても大切なことです。熱意はスピードでしか表すことができないと私は思っています。学校は予期せぬトラブルが起こります。即対応こそ、目に見えない熱意を表す一番の方法です。驚くほど保護者からの信頼が集まってくるはずです。
保護者と交わした最初の会話で、あなたの印象が決まってしまう可能性があります。保護者にはいろいろな職種の人がいます。しっかりとした言葉づかいができるだけで、保護者から信頼感を得ることができます。
保護者会や面談のために来校した保護者に、「ご苦労様です」という言葉は目上の人が目下の人に使う言葉なので使用することは要注意です。「ご多忙の中、ご来校ありがとうございます」といった言い方がスマートです。
話がつまらない、話が長い教師の特徴は、行き当たりばったりで話をすることです。決して何も用意をせず話し始めてはいけません。話をする目的や要点をまとめてから話をしましょう。分かりやすい話し方の順序は、結論、理由、具体例、締めの言葉です。
担任としての自分の考えを「私は○○のような方針でクラスを運営しています」というようにアイメッセージで保護者に伝えていきます。
保護者の一番の関心事はわが子のことです。貴重な時間をさいて来校した保護者に、長所やほほえましい言動を伝えるようにしましょう。それとセットで、注意事項は改善策を簡潔に伝えると悪い印象を与えません。
また、保護者会で面白いエピソードを用意し「楽しんでもらう」というおもてなしのサービス精神が必要です。保護者に楽しんでもらうことで得られるものがあるとすれば、保護者がリラックスしていろいろなことを話せる場を提供できるようになることや、保護者からの支持や信頼です。
保護者と対話するとき共感することが重要です。保護者の気持ちや苦労がわかっているということを言葉にして表します。「わかります」「大変ですよね」「おっしゃる通りです」といった言葉で、教師が保護者に共感する。そして、わが子を「大切にしてほしい」「認めてほしい」という欲求を満たすことが教師の大切な役目なのです。
私は「人は自分に興味を持ってくれる人に、親近感や信頼感を抱く」と思っています。担任が保護者の話を熱心に聞いただけで「なんていい先生なんだ」と思ってくれる人もいます。保護者の話:教師の話は8:2の割合くらいが理想だと思います。
保護者のニーズをつかむことは重要です。たとえば、保護者が「楽しく元気に学校に行ってくれればいい」と考えているのに、担任が必死に学力向上の話をしたらどうなるでしょうか。このねじれ現象の始まりは、保護者と担任のミスマッチです。だからこそ、しっかりと保護者の考えや思いを聞く必要があるのです。
(栗田正行:1976年千葉県生まれ、教師、料理人、熟講師を経て私立高校数学教師。コミュニケーションを学び、わかりやすい授業、子どもや保護者への気遣い対応で10年以上の塾講師で9割以上の子どもから満足を得た)
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