授業中に注意しても反抗的な子どもがいるときどうすればよいか
授業中に「ノートを出しなさい」と言っても出さない子ども、教師の言葉尻をとらえて茶化し笑いをとろうとする子ども、大声を出して妨害しようとする子どもがいます。
無視すると、もっと注目を得ようとして行動をエスカレートさせる恐れがあります。子どもにとっては、無視されることは何よりつらいことです。無視されるくらいなら、悪いことをしてでも注目を得ようとするわけです。
ここで注意したり、叱ったりして、やめてくれるのであれば、そんなに「やっかいな子ども」ではありません。
こういう子どもにいくら注意しても叱っても、同じ行動をくり返すだけです。教師に反抗したり困らしたりすると、注目が得られることを知っています。
例えば、授業の始めにノートを出さないので数回注意しましたが、出す気配がありません。どうすればよいのでしょうか。
厳しいタイプの教師は反抗的な子どもが「注目されない」ようにします。
「○○さん、じゃあ時間だから授業始めますね」といって、さっさと授業を始めてしまいます。ノートを出すように言っても「やだ! なんで勉強しなくちゃいけないんだ?」とけんかごしに迫ってきても、同じようにします。
こういう子どもは、教師が怒鳴って叱ると、他の子どもから注目されることになります。だから、注目されないように、穏やかに「じゃ、授業を始めるから、やる気になったらノート出してね」と言って授業を始めます。
こうした子どもはメンツを大事にし、人前では絶対に負けを認めません。だから、言い争っても時間の無駄になってしまいます。他の子どもに不快な思いをさせてまで、その子と戦う意味はありません。
その子との関係の改善は別の方法で行います。たとえば、その子に活躍の場をつくったりして、別なことでその子が注目を得られるようになれば、反抗的な行動は影をひそめていくはずです。
優しいタイプの教師は、反抗的な子どもと「日常会話を増やし、ほめる」ようにします。
反抗的な子どもは注意しなければならないところがたくさんあるから、注意が多いコミュニケーションになってしまっています。しかし、教師の話を聞いてくれない以上は、注意や指導も成り立ちません。人を傷つけるといった緊急を要する場合以外は、大目にみます。
そして、笑顔で話しかけ、できるだけ日常会話を増やしましょう。公平な目でその子に注目していれば、何かいいことをしているはずです。そこを見逃さずほめます。私は、1つ注意したら、5つはほめて、日常会話をするようにしています。地道な努力が子どもとの関係を改善します。改善すれば、反抗的行動は減ります。
じっくりタイプの教師は反抗的な子どもと「じっくりかかわり、貢献の場をつくる」ようにします。
最初は断られます。反抗しているのですから、当然です。「仕事を頼む」ことを通して、注意や指導以外のコミュニケーションがその子との間に生まれます。
反抗している子どもは、教師に嫌われていると思っています。でも、同時に好かれたい、役に立ちたいと思っています。「だめもと」の気持ちで言ってみたらいかがでしょうか。
「役に立ちたい」という気持ちをくすぐってみます。力持ちなら「これ持ってきてくれる?」、絵が得意なら「学級便りにイラスト描いてくれない?」、工作が得意なら「これ直してくれない?」などと頼んでみましょう。
「やっかいな子ども」に見えた子どもが、このようなやりとりで「案外かわいい子ども」に思えれば、その後の子どもの行動が違って見えます。すると、その子へのかかわりが柔らかなものになり、子どもとの関係の改善をもたらします。
(赤坂真二:1965年新潟県生まれ、小学校教師(19年間)を経て、上越教育大学教授。アドラー心理学アプローチの学級経営を研究。現場の教師を勇気づけたいと願い、研究会の助言や講演を実施して全国行脚している)
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