保護者をひき込む魅力ある保護者会にするにはどうすればよいか
小学校教育では、子どもを支える保護者の理解と協力が不可欠です。学校が実施する保護者会は連携の最たるものであるといえます。保護者をひき込む魅力ある保護者会を開くには創意工夫が必要です。
保護者会のねらいは、教育方針や指導を具体的に知らせ、保護者の理解と協力を得る。子どもの学校生活の様子や傾向を知らせる。保護者の意向や要望を聞き取る。保護者からは、わが子の学校生活の状況を知る。わが子の性格や健康、生活の状況を担任に知らせ、担任の理解を得る。同じ年代の子をもつ親としての悩みを共有し、解決に結びつく適切な情報を交換する、などが考えられる。
保護者会は保護者と共に一人ひとりの子どもをよりよく育てていくための会であることを自覚し、保護者の声や意見を聞き、取り入れ保護者の理解と協力が得られるように進めていくように努める。
保護者会の魅力は話題となるテーマのいかんによることが多い。そのため、担任は、教育活動の状況、子どもの実態、保護者の意向等を考え、タイミングのよいテーマを設定していくことが必要である。テーマは保護者からのアンケートをとり、学級PTA委員などの意見を求め、管理職の承認を得て実施する。
担任の準備や運営によって楽しい、来てよかったといえる実りの多い保護者会になる。担任は建設的で明るい希望のある話をするよう心掛ける。子どものよさや成長を認めて「こんないいところがあります」と保護者に話すようにする。そのためには、ふだんから気をつけて子どもを観察し情報を集めるようにしておき、それを生かすようにする。
わが子のよさが認められると保護者は安心し、うれしいものである。そこから担任に対する信頼が生まれ、子育ての意欲もわき、和らいだ楽しい保護者会の雰囲気がつくられる。
保護者の発言を広げ深めていくようにする。一つの発言がでたら、同じような意見はないか発言を求め広げるようにする。そして、どうすればそうなるのか、なぜそのように考えたのかと深め、みんなの問題として意見を求めていく。
全体の場で意見が出ないときは、グループで話し合ってもらい、話したことをもとに発言してもらう。討論で相手を負かそうとするのではなく、それぞれのよさを生かす中で、みんなでよりよいものにしていくように会を進める。
担任はどの保護者にも丁寧な言葉づかいをし、誠実で公平な対応をする。保護者から要望や質問があったときは、保護者の立場に立ってよく聞く。できないことは理由などあげてよく説明して分かってもらう。その場で答えられないことは、保留し無責任な回答をしない。学校全体の問題なので管理職と話し合ったうえで回答することを伝える。
保護者会の内容に合わせて会議の型を変えると効果的である。子どもの個人的なことを話す個別面談型、斜め向かい合うように座ると話しやすい。みんなで意見を出し合い、話し合うのに適した座談型(机をコやロの字型にし、顔が見えるようにする)、意見が出にくいとき少人数で気楽に意見を出し合うことができるグループ型、説明や講和を聞いたりするのに適した講和型などに大別できる。それらの型に合わせて机を配置し、名札を用意しておくとよい。
視聴覚機器や子どもの作文・絵・工作など実物をつかうと分かりやすく、楽しい保護者会になる。視聴覚機器を使うのは手数がかかるが、それだけに効果が大きい。できるだけ努力するようにしたい。
せっかく時間をさいて保護者会に出席したのだから、保護者は「おみやげ」が欲しいはずである。次のものが考えられる。
(1)子どもの情報
一人ひとりの子どもの学習面や行動面の進歩の状況や伸ばしたい点。交友関係。身体測定の結果・運動能力・発達の特徴(統計などを使用)。子どもたちの意識や考え方。同年齢の非行問題や健全育成の取り組み。健康(多い病気など)情報。
(2)学校の情報
学校行事、学級目標、学習の指導重点、学習予定、学校のきまり、学級の生徒指導の問題
(3)家庭の情報
家庭での生活の様子や交友関係の様子など(保護者間の情報交換)。しつけの好事例。
(織井道雄・野々山 毅:元東京都公立小学校校長)
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