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思春期の子どもの子育てのポイントとは

 思春期は子どもと親の葛藤が表面化します。子どもは理屈を並べて親に対抗してきます。手に負えないような子どもであればあるほど、親としては共存の道を探るしか方法はないように思います。
 思春期はつらさより楽しいことが大切です。それが苦難を乗り切ります。
 思春期の友だち関係はとてもデリケートです。少し仲がこじれたり、悪くなると何となく学校に行きづらくなるものです。それでも学校に行くのは、友だち関係を良くするために、かなりのエネルギーをさいているからです。
 子どもは子どもなりに一生懸命にやっているのです。ですからできるだけ、子どもが家に帰ってきたら、楽しいことをしていただきたい。これがストレスを取る薬です。楽しいことがあるから、つらいときに「生きていてよかった」と思えるのだと思います。
 親の笑顔が子どもを支えます。親の笑い顔でしあわせを感じたいのです。親に愛されていると実感すれば、子どもは前向きになれます。親が元気で人生は楽しいな、という生き方をしていると、子どももそうなるものです。
 どうすれば親が楽しくなるのか。それは「自分を好きになる」ことだと思います。なかなか自分を好きになるって難しいですね。ですから、「自分のいい所」を見つけることです。そうすると、自分っていいなと思えるようになります。そうすると、子どものことも可愛いと思えるようになります。子どもの欠点も可愛く思えるようになります。子どもも自分を解ってくれる人がいると、幸せに思えるようになっていくんですね。
 「今が楽しくない」と、ぜんぶが不幸に見えてしまうのです。今楽しく生きていれば、将来も十分望みが持てます。「家に安心して帰れる」子どもがこう思えば、たいていの問題は解決すると思います。
 人間関係は自分を知ってもらうことから始まります。人間関係の最初のつまずきは、相手に自分のことを伝えられないことから始まるのだと思います。うまくいかない人間関係で、一番苦しいのは「自分をわかってくれない」ということではないかと思います。
 わかってもらえるには、とにかく「自分は、こういう人間です」ということを相手に知らせなくてはいけません。これが意外とむつかしい。自分を知ってもらうために自己表現が必要です。
 カウンセリングでは自己表現のことをアサーションといいます。ある程度の訓練が必要です。それほどむずかしく考えるものではありません。言いたくても言えない気持ちを素直に出せるようにするには、とにかく最初のひと言を言わせてあげることです。
 そして、どんなひと言でも肯定してあげるのです。「そうだったの」「そんなふうに考えていたんだね」と。特に家のなかでは、そうありたいものです。とにかく言ってみるということを体験させてほしいのです。 
 親と子どもが会話する習慣をつけるには、親が子どもと会話をした後、「よかった」と思えるようにすることが大切です。そのために心がけてほしいことは、
(1)
無条件に子どもを肯定的に理解する
 子育てで最も大切で基本的なことは「子どもを無条件に肯定的に感心すること」です。これだけで子どもは育ちます。
 カウンセリングの理論に「いいところを活性化せよ。そうすればダメなところもよくなる」というのがあります。傷ついているところを治そうとしてみても、傷ついたところは痛い所です。どんどん痛くなります。苦しくなります。
 これは簡単そうですが、結構むつかしい。子どもがテストで悪い点をとったとき、親としては「一生懸命にやっていたね」と、一応認めてあげる。すると子どもは「うん、でもね」と本当の気持ちを語ってくれるでしょう。
 ところが、反対に否定すると、状況は一変します。「あんた、しっかりしなさいよ」と、母親から言われたら子どもは「なんだ、ばかやろう」と子どもは反発します。
(2)
自己一致
 自己一致とは首尾一貫した考え方と行動を指します。子どもの心は安定します。その対極は感情にふりまわされた言動です。その日の気分しだいで、怒ったり、やさしくなったりしたのでは、子どもたちも大変です。
(3)
共感的に理解する
 子どもの気持ちになって、一緒に「そう、そうね」と話をするということです。
 子どもたちが嫌がることは「親の気持ちの押しつけ」です。子どもは親が心配していることは知っています。だから、母親は自分の気持ちを「押しつける」必要はないのです。
「ふ~ん。そうなの」と、これだけで十分です。「気にしてるよ」ということをちょっと示すだけで大丈夫。それが共感的理解です。「教える」のではなく「育てる」ことです。それだけやっていれば、子どもは育つのです。
(
池田佳世:1938年東京都生まれ、臨床心理士。SCSカウンセリング研究所代表)

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