教師に求められている専門的な力とは何か
教師には次のような、さまざまな専門的な力量が求められている。
(1)授業の力(指導力)
(2)子どもが抱える問題と対峙しながら、一人ひとりが楽しく学校生活を送ることができるように、生活集団や学習集団を組織する力量
(3)保護者や地域住民の要望や苦情への対応
(4)いじめ、不登校、暴力的な子ども、非行少年への対応
(5)学校・学年・学級レベルにおける危機管理の発想と手法
(6)学校の自己点検・自己評価をし、保護者や地域住民への説明責任
(7)LD,ADHD、高機能自閉症等、特別な教育的ニーズを持った子どもへの教育支援、障がいのある子どもについての臨床的な知識や技能
(8)学校支援ボランティアを生かした教育活動の工夫
などがある。
これらの力量の中で、教師の専門性や資質能力の根幹を成しているのは、「授業力」(指導力)である。
「教師にとって授業は命」「教師は授業で勝負する」と言われているように、教科の特性を生かした「わかる・楽しい授業づくり」に努めることは、教師にとって当然の、しかも最も重要な課題であり職務である。
「わかる・楽しい授業づくり」を生むためには、教材研究が不可欠である。教材研究は教材の本質をとらえ、子どもの実態に応じた指導の内容・方法を究明しておくことである。
教師は「授業の力」をみがくために、他の教師などに自分の授業の映像記録や授業記録をとってもらい、授業中の教師や子どもの姿を客観的にとらえる機会を持つようにしたいものである。
そして、自分の授業のどの部分が不十分なのかを明らかにして、次の授業への課題を浮き彫りにする。その課題の克服に向けて努力をしていくことが、自らの成長への確かな道筋である。この姿勢こそが、教師が「反省的実践者」と言われるゆえんである。
授業の力を高めるために、次の要素について自己診断を行うとよい。
(1)教材把握力
学習指導要領の解説等で教材の本質を見る目を培っている。子どもの意欲・理解をうながす開発を心がけている。
(2)子どもの実態把握力
既習事項について子どもの習得状況を把握し、指導に生かしている。子どものノートに目を通し学習状況を把握している。子どもの人間関係の把握に努めている。
(3)授業技術力
発問や指示は、ねらいに照らして明確・的確に行うようにしている。机間指導では、言葉がけをし、多くの情報が得られるようにしている。目標の達成が不十分な子や理解の早い子に応じた指導に心がけている。
(4)評価力
子どものよさに着目し、活動の状況をつぶさに観察して評価している。学習結果だけでなく、学習過程や理解の状況を把握して評価している。授業を自己診断し授業改善に生かしている。
(5)気力・気合い
授業への熱意・気合い・ゆとりを持って取り組むようにしている。授業の成功イメージを持ち、子どもの理解を確認しつつ取り組んでいる。どんな状況になっても、プラス思考で進めるようにしている。
(相吉 靖:元川崎市立小学校校長、神奈川県教育委員会教育長)
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