次々と無理な要求をする親がいるとき、どう対応すればよいか
無理な要求を次々にしてくる親がいます。たとえば、要求を断ると口ぎたなくののしり、一日に何回も電話をかけてくる。校長宅や教育委員会にも虚偽に満ちた電話する。大勢の人をかき乱す。このような場合、保護者のパーソナリティ障害といった心の問題が推測されます。
もちろん素人では判断できないので、対応策の助言を得るため、きちんと記録をとり、主だったエピソードをまとめて専門家に相談します。同時に、子どもへの親の影響が懸念されますので、子どもを支援する体制を組む必要があります。
また、様々な関係機関を巻き込むことが予想されますので、関係者が集まり、情報交換や対応方法を協議するようにします。
パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで、本人が苦しんでいたり、周りが困っていると診断される精神疾患です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから障害(問題)が生じるものです。
認知、感情、衝動コントロール、対人関係といったパーソナリティ機能の広い領域に障害が及んでいます。注意したいのは、「性格が悪いこと」を意味するものではないということです。治療を進めるためには、患者と治療スタッフとが協力して問題を認識し、対策を検討するという作業が重要です。
パーソナリティ障害には、つぎのようなものがあります。
1 奇妙で風変わりなタイプ
(1)妄想性:他の人の言動を疑う。侮辱を感じると恨みを抱き続ける。攻撃を受けていると感じると逆襲する。
(2)統合失調質:非社交的で他者への関心が乏しい
(3)統合失調型:親密な関係がもてず、認知的なゆがみや奇妙な言動が目立つ。
2 感情的で移り気なタイプ
(1)境界性:気分の波が激しく不安定で、良い・悪いなどを両極端に判定する。
(2)自己愛性:プライドが高く、他人の批判や無関心には屈辱感を感じる。
(3)反社会性:衝動性・攻撃性が強い。規範意識が低い。良心の呵責が欠如。
(4)演技性:他者の注目を集める派手な外見や演技的行動
3 不安で内向的であることが特徴
(1)依存性:他者に過度に依存し、認められないことを恐れる。孤独に耐えられない
(2)強迫性:こだわりが強く融通がきかない。ひとつのことにのめりこむ。
(3)回避性:対人関係を避ける。ささいなことで嫌われていると思い悩む。
パーソナリティ障害が疑われる親と対応するときは、どのように対応すればよいのでしょうか。
基本姿勢は、だめなことは「ダメ」とはっきり言う。話に耳を傾けながらも、身の上話に同情しない。突拍子もない言動に直面しても決して慌てない。不安定な心を受けとめ、努力を認め、励ますようにします。
(嶋﨑政男:1951年生まれ、東京都立中学校教師・教育研究所指導主事・中学校長等を経て神田外語大学教授)
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