「逆境こそわが恩師、飛躍のとき」という生き方が、自分を最高に輝かせてくれる
私が新任の頃は、熱血で気合いが入っていました。先輩の声に耳を傾けようとしませんでした。生徒に対して力でおどしていました。生徒は私が恐いものですから、おもしろいように指示が通ります。体育会や音楽コンクールも優勝、成績もいつも上位で「どんなもんだい。俺みたいに学級をビシッとまとめてみろよ」と、先輩をバカにし、私はうぬぼれていました。
しかし、一年が終わろうとした頃、弱いものいじめの問題が起こったのです。この問題を解決するために学級会で話し合ったとき「先生は、目に見えるものしかわかっていない。私たちの心が何もわかっていない」と言われ、私はショックを受け、その日をさかいに、生徒の行動の奥を考えるようになり、私は変わり始めました。
「生徒は、私を本物の教師に導いてくれる先生かもしれない」と考えるようになり「生徒に学ぶ姿勢」をもつようになっていきました。他の教師や本からも学ぼうとしました。東井義雄先生の本を読むと、私は心の底から感動して涙が出てきました。
「私も東井先生みたいになりたい」と思うようになりました。私を教師として開眼させてくれたのです。「東井先生のように、優しくあたたかい心で、子どもをやる気にさせ、『今日も頑張るよ』と登校する、そういう教育ができる、本物の教師になりたい」という願いが生まれてきました。
そのような学びの日々の中で、「生徒に学ぶ」「本を読み、深く感動した本の著者に感想を送る」「毎年、最低一本の実践記録を書く」ということを行うようになっていきました。
教職について八年目に、次のような信念と方針をもつようになりました。
1 教師としての信念
(1)人間にくずはない(金澤嘉一)
(2)どの子も心のスイッチさえ入れば、必ず光りだす(東井義雄)
(3)千の子どもに千の花が咲く(吉田六太郎)
2 信念に基づいた方針
自分の仕事は、生徒一人ひとりが、自分で自分の花を咲かせるように支援すること。自分は、次の三領域から生徒と学び合うよう勝負する。
(1) 道徳
先達の生き方や考え方に出会い、感動し「こんなふうに生きたいなぁ」と、生徒が本心から「あこがれ」をもつようにします。
(2) 学級・生徒会活動
自分たちの生活をより豊かにしようとしたり、仲間とともに問題を解決していこうとする中で「できる自分」「やれる自分」を実感し、自分に対する自信をもてるようにする。
(3) 社会科の授業
「考えあう授業」を行い、思考力・判断力・表現力等を培うようにします。
教師としての自分をふり返り、自分を少しでも高めるために、私は生徒たちに先生の通知表を書いてもらうようにしています。
私にできること、それは、いつも自分をふり返ること、反省すること、そして、努力すること、学び続けることです。
ふり返ってみますと、逆境のときに自分が成長していることがわかります。生徒に反抗されたとき、自分の手に負えない生徒に出会い「どうしたらいいのか」わからなかったときなど、私にとって逆境と思えるものが、私をめざめさせてくれているのです。
天が私をきたえるために、逆境と先達を与えてくださっているんではないかと、つくづく思います。私にとって「逆境こそ飛躍のとき。逆境こそわが恩師」これは、私にとって絶対の真実です。
「この学校は荒れているからイヤだ」「なんで、こんなきつい仕事をせないかんのだ」「あの子の担任だけはなりたくない」「なんでこんな病気や事故に会うんだ」と、いう考えはもたず、天が与えてくれるすべてのものを、自分を鍛えてくれるものとして感謝の心で受け入れる。
その時、その場で、全力投球していく。そんな生き方をしていきたいと思っています。そういう生き方をしていくことが、自分を最高に輝かせることであり、真実の世界にめざめさせていく生き方だということを体験的に学んでいると確信しているからです。
(赤坂雅裕:1959年福岡県生まれ、福岡県公立中学・高校教師、スペイン国日本人学校教師、福岡県教育センター研修主事を経て、文教大学教授。茅ヶ崎市教育委員会教育委員長)
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