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保護者からの苦情が苦手な教師の対応の秘訣とは

 保護者からの苦情をこじらせる教師の原因のひとつとして考えられるのは、苦情対応についての研修の場がないことだ。教師は苦情に慣れていないのである。
 苦情対応が苦手な教師が応対しなければならないとき、どうすればよいか。保護者の話を聞いて、相づちを打ちながら、その場での解決を避けるようにする。黙って聴いて、管理職に相談のうえ、返事をするようにしたらよい。
 すべて聴き終わった後に、ていねいな口調で「お話は承りました。少々お時間をいただき、事実確認を致しまして、改めてご報告させていただきます」と、保護者に伝えるのだ。
 そこで、保護者から「待てないから、即答せよ」と迫られても、解決のペースまで相手に合わせてはならない。「それでは、学年主任、副校長に相談をしてまいりますが、お時間をどれくらい頂戴できますか」と尋ねる。
 真実が判明するまでは、その場では軽はずみな会話は避け、聴くことに徹するのが最良な策であることは、一般社会の苦情対応と同じである。
 苦情の対応経験が浅い教師は「なるようにしかならない」という考えを、つねに頭に置いてほしい。苦情への回答は、どうがんばっても相手次第のところがある。つまり「なるようにしかならない」のだ。「誠意」を持って対応し、成功の確率をあげるしかない。
 私の経験から、どうがんばってもうまくいかないものは多数あった。私がこの苦情対応の仕事を担当し始めたころは、失敗だらけだった。冷や汗をかき、言葉もスラスラと出ない状態だった。それでも、場数を踏めば、相手の顔も正視でき、語彙もたくさん自分の引出に入れ、うまい相づちを打てるようになるものなのだ。
 そのころ悟ったのが「なるようにしかならない」ということであった。皆さんは、子どもを育成する教師である。うまくやろうというより、広く大きな気持ちで受けとめることが一番だ。
 一人で抱かえ込む前に、一人で悩まず先輩や同僚、管理職など、相談できる人にたずねる。家族、親せきという支援者が教師の周りにはたくさんいるのだ。もちろん教師には守秘義務があるので、話す相手、時と場所、話す内容には配慮すべきである。そして、回答へのヒントとなることを聞く。
 よい解決法が見つかれば、救われるのは自分で、喜ぶのは保護者なのだ。人間は一人の知恵なんか、たかが知れている。多くの人の経験や知識・思いつきを借りることに何のためらいがあろうか。
 そして「なるようにしかならない」が、よい方向へ向いてくれれば、最高の対応となることを私は保証します。
(
関根眞一:1950年埼玉県生まれ、苦情・クレーム対応アドバイザー。百貨店に34年間在職し、お客様相談室長を経て、メデュケーション()代表取締役。新学校保護者関係研究会委員) 

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