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保護者からの苦情やクレームの防止と受けたときの対応のポイント

 自分が親近感を抱いている人には、その行動が多少納得できないことがあっても、許す傾向が人間にはあります。ということは、保護者に親近感をもってもらえば、学級運営に多少納得できないことがあっても、許容してもらえる可能性が高まるということになります。
 子どもたちや保護者が担任に親近感を抱いてもらうにはどうればよいでしょうか。
 子どもたちには努めて声をかけるようにします。一緒に遊んだり、ゲームをしたりします。子どもが満足すれば、ほとんどの保護者は満足します。保護者には、コミュニケーションを多くとります。連絡帳にちょっとしたひと言を書きます。よいことがあったら電話をします。
 さらに、どんな学級をつくりたいか、どんな授業スタイルか保護者に理解してもらいます。担任が尊敬する人は誰か、どんな子ども時代を送ってきたか個人的な部分についても理解してもらいます。保護者は担任の考え方の根本が分かりますから、担任の言動に一定の理解を示してくれます。
 保護者が最も気になることは、わが子が授業についていけているか、仲のいい友だちがいるか、意地悪をされていないか、ということです。勉強が苦手な子や、友だちと関わることが苦手な子がいます。そういう子には担任がたくさん関わることで、担任はわが子をちゃんと見てくれていると分かって保護者は安心します。
 学校で担任が話したことや、行ったことは、子どもというフィルターを通して保護者に伝わります。担任は保護者に正しく伝わるような工夫をすることが必要です。担任はぶれない意味の明確な言葉でハッキリと話す。話し言葉だけでなく、プリントでも伝えるようにします。最後に子どもが分かっているどうかを確認します。
 もし、保護者から担任が苦情やクレームを受けたときの対応のポイントは、大らかな気持ちで謙虚に受けとめる。苦情やクレームで保護者から教えられたことに担任が感謝をする。保護者の話を途中でさえぎらず最後まで聞く。担任に落ち度があれば潔く謝罪する。解決策よりも、満足感、安心感を保護者に与えるようにする。
 被害者意識の強いタイプの保護者には、不安な気持ちを受けとめ、担任が子どもを見守っていくことを自信をもって保護者に伝える。
 高圧的なタイプの保護者には、複数の教師で対応する。高圧的にならざるをえない理由をさぐり、その理由に共感し、ほめるようにしましょう。落ち着いたところで、事実をはっきりとさせる。
 感情的なタイプの保護者は、自分は正しいと思いがちです。反論するとよけいに感情が高ぶります。まずはじっくりと話を聞き、ミスには謝ります。自分が言いたいことを全部言ってしまえば、落ち着いてくることが多い。
 保護者と担任の関係がこじれてしまったら、わだかまりの感情がわきおこり、当事者同士で修復するのはとても難しい。管理職に助けを求めましょう。保護者は上司に訴えることで、満足感を覚えます。わだかまりを解消することにつながるでしょう。
 クレームを受けたときの担任の精神的な苦痛は大きい。担任に元気がなくなると、子どもたちにも悪い影響が出るでしょう。関係がこじれてしまったら、一歩さがって心の安定をはかることがとても大切です。
 管理職が対応している間に担任が子どもたちの指導に力を入れていると、保護者も冷静になって互いに歩み寄れるようになることもあります。
(山中伸之:1958年生まれ。栃木県公立小・中学校教師。実感道徳研究会会長 日本群読教育の会常任委員)


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