問題を起こす子どもの親とは
私は子どもの問題を持つ家庭へ出向き、35年にわたって子どもの問題解決に体当たりで取り組んできました。子どもの問題は家庭で生々しく起こっているからです。子どもが社会や学校に戻るまで付き合って2000組以上の問題を解決しました。
子育ては「手をかけ過ぎないで、目をかけよ」が理想ですが、問題を持った家庭の子育ては「手をかけ過ぎて肝心なところを見落とした」という大きな特徴を持っています。
子どもの問題は問題のある親のもとで間違いなく起こっています。親が子育てに信念を持たず、子どもを腫れ物のように扱っている状態の家庭で起こっているのです。その結果、怖い人がいない子どもたちは協調性を失い、社会のルールや大人たちをナメて問題を引き起こしているのです。
親が子どもなんかにナメられていてはダメ。もっと親らしく、自信をもって、子どものためにしっかりしてほしい。「お前に文句を言われる筋合いなんか、ひとつもない」と言える、堂々として頼もしい親を子どもは待っているんです。びくびくしながら子どものご機嫌をとる情けない親なんか見たくもないんです。
子どもは次の世代を担っていく大切な人だからこそ、大人は善悪のけじめを毅然とした態度で教えなくてはならない。
子どもが問題を持っている親は、肝心なときに熱意ある速やかな行動ができなかったり、妙に冷めた行動をとったりします。
子どもにだけ変われと言って、親が一向に変わらないのはずうずうしい。親が変わらないかぎり、同じ問題が繰り返されていくだけです。
子どもは、苦しい時に分かってほしいからこそ親に当たり散らします。それをただ受けとめるだけでなく、どうやったら楽になるのかを共に動いて探してあげること。それが今の大人たちに欠けているのではないでしょうか。口先だけではいけません。前へ前へと動くのです。
親がわが子をさけていると「見捨てられた」と子どもは落ち込みます。親が世間体を大事にしているうちは、子どもを大事にできません。親が本音で子どもに体ごとぶつからないうちは、本音で生きる子どもを助けることはできません。親の体当たりでぶつかってくる激しいまでの愛情によって、子どもは変わることができるのです。
親は自分の幸せを削って差し出さないうちは、苦しむ子どもを助けることはできません。私は難しいことは全くわかりませんが、母親として考えると、子どもの心にきく最高の薬は、母親の温かい心に他ならないと固く信じています。
(長田百合子:1954年岐阜県生まれ、ノンフィクション作家。愛知県の塾教育学院代表。問題の子どもを抱える家庭に自ら出向き解決に努めた。親や子を罵倒する手法が民事裁判で敗訴したこともある。日本家庭教育再生機構理事長)
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