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学級崩壊のきっかけになる子どもの心の荒れにどのように対応すればよいか

 教師は、子どもの変化にもっと敏感にならなければならない。社会が変わり子どもが変わっても教師がそれに対応した学級経営や授業ができないとき、子どもは教師の手に負えない存在となり、子どもと教師の間に溝ができ、それがどんどん広がっていき学級崩壊に陥る。
 そこで、学級崩壊や授業崩壊のきっかけになる子どもの荒れる心を受けとめ、調整する技術が必要となる。子どもへの愛情は、指導技術を越えるということを基本にして、子どもの揺れ荒れる心に応える指導技術を考えてみよう。
1 子どもと触れ合う
 子どもとの触れ合いには次のような場合と段階がある。
(1)
スキンシップ(セクシャルハラスメントにならない範囲)
(2)
気軽に話したり、同一行動がとれる。
(3)
悩みを打ち明けられたり、相談されたり、話したりする。
(4)
生き方について相談されたり、話したりする。
 授業のなかでの教師と子どもの触れ合いについて、教師はもっと考え工夫する必要がある。子どもの発想や心の動き、子どもの関心や願いを大切にする授業が求められている。
 授業をカウンセリング・マインドで行うと、子どもの発想と心は受けとめられ、生かされ、穏やかで、満足度の高い学習が行われることが多い。
2 子どもの心を受けとめる
 子どもが教師と話たがらないのは、自分の話を受けとめてもらっているという思いがしないからである。教師は子どもが何か話しだすと「それは、あなたが・・・・・だから」などと、話を横取りして最後まで話させなかったりすることがある。よく聞きもしないで、教師の判断や価値観を押しつけてしまうこともある。 
 子どもは、ともかく自分を語りたいのだ。子どもの話を教師が共感しながらじっくり聞いてやってほしい。教師の判断や考えは、子どもから求められてからでいいではないか。
3 子どもの心をとらえ続けようとする
 子どもが何を考え、悩み、願い、訴えようとしているのか、子どもの心を教師それほど的確にとらえることはできない。しかし、それでも、子どもの心をとらえようとし続けることが大切である。結果として、子どもに近いところで考える教師になることができる。
4 子どもの心に流れをつくる
 子どもは自分の思いが通じないとき、考えが軽んでられたとき、プライドが傷つけられたとき、自分のしていることが上手くいってないとき、突然攻撃的になり、反抗的な行動をとることがある。
 このとき、教師はそれに対抗し、強硬な対応をしがちである。これが子どもと決定的な溝をつくることになる。
 子どもの言い分を冷静に温かく聞きながら、子どもが何に興奮しているのかをとらえ、落ち着かせ、共に考えていこうとするとよい。なるべく平静に近い気持ちで解決できるように、子どもの心の流れをつくってやることが大切である。
5 子どものプライドに配慮する
 人間はだれでも人前で自分の失敗や欠点を言われるのを好まない。したがって、子どもに注意するとき、全体的なことは、クラス全員を前にして指導する。個人的なことは、誰もいないとろこで一対一で静かに温かく指導する。
 子どもは教師による決めつけや見放し、さげすみと思えるような心ない言葉にプライドが傷つけられる。特に友だち、異性の前での教師からの注意は大いに傷つくのである。
6 子どものことを保護者に言いつけない
 子どもが担任を警戒する原因に、学校であった子どもにとって都合の悪いことを、親にしらせ、家で注意するよう求めることにある。
 学校で担任に注意されて子どもが反省しているのに、さらに親に知らせことは、担任は自分で十分に叱ることができないから親に頼んでいると子どもは考えるようである。
 少なくとも、担任が自分のことを親に言いつけたと、子どもから敵対視されないような伝え方を工夫することが必要である。
7 子どもに愛情を持ち、伝えていく
 学級崩壊、授業崩壊の遠因に、教師の子どもに対する愛情不足や愛情表現の不十分さがある。子どもは担任が自分をいつも見ていてくれるという安心感がほしい。担任が子どもを愛し伝えていくために、
(1)
子どものよいところを見つけて、子どもをほめ認める。
(2)
子どもの話を最後まで聞く。
(3)
ノートや作文、作品を見て、良いところをほめ、間違いはていねいに教える。
(4)
忙しいからと後回しにしないで、子どものことは最優先にする。
(5)
子どもがうまくできるまで見守り、助けていく。
8 子どもが自分で判断する体験を豊かにする
 今の子どもたちは、自分で判断する体験がほとんどない。学校生活で、子どもに選択させられることは、自分で考え判断させる機会をあたえ、その結果に責任をもつような子どもに育てたい。
9 子どもに分かるしつけをする
 教師は子どもが自立するためにしつけようとする。友だちと協調し、相手を認めあい、助けあって生活できるよう、しつけをすることも求められている。    
 しかし、子どもたちは約束や決まりごとの必要性が分からず、また、守ろうともしない傾向がある。そこで、しつけについての子どもたちの考え方を変えることが求められる。そのためには、
(1)
なぜいけないかを理解させる
 子どもたちは、善悪の判断や、他人とのかかわりで考えたり、判断したりするしつけをあまり受けずに育ってきたと思われる。だから、なぜいけないか理解させる必要がある。例えば、授業中の私語がいけないことをきちんと指導してから、できないときに、きちんと守るように静かに温かく諭すようにする。
(2)
きまりを守らなければどうなるか
 きまりを守らない人がいるとどうなるかを、具体的に分からせていくことが必要である。例えば、授業中の私語が、友だちの学習のじゃまになることを再現して理解させる。自分が発表しようとするとき、みんなが勝手に話をしていたら、自分の言いたいことが伝わらないことを具体的に体験させ、どのようにしたらよいか気づかせていく。
 そして、約束やきまりが、実は自分を守るものであり、必要であることを分からせていく。
10
歩きながら変えていく
 子どもが悩みや苦しみを克服できずに爆発させてしまう子どもがいる。それを、まわりの子どもたちが心理的に支持して学級崩壊になってしまうことが考えられる。
 押さえこもうとしたり、理屈だけで納得させて子どもを変えようとするには無理がある。
 学級生活や活動に沿いながら、できれば目標を共有できる活動を設定して、それをやり遂げるどろどろとした過程で、自分らしさを発揮させながら、子どもたちに変わるチャンスを与えていくのも一つの方法である。
(
小島 宏:1942年東京生まれ、東京の国公立小学校教師、指導主事、小学校長を経て教育調査研究所研究部長。文部科学省「小学校学習指導要領」作成協力者などを歴任)

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