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学級崩壊からクラスを生還させるにはどうすればよいか

 学級崩壊から生還するにはどうしたらいいのか。それには原則がある。正しい方針がある。素直に、正しい方針でやってみることだ。
 学級崩壊の時、教師をやめたいとだれしも思う。それほど苦しい。しかし、解決の方法はあるのである。
 学級崩壊の解決には、一つだけ条件がある。学級崩壊の責任が教師自身にあることを、教師が認めることである。つらいことだが、自分の未熟さを認めることである。それだけが解決に向かう方法である。
 学級が荒れる原因はあなた自身の中にある。悪いのは、あなたの教育行為の中にある。子どもの前で教師としてふるまったことの中に、クラスが荒れる原因がある。どれがいけなかったのか、なぜいけなかったのか、ふり返ってみることが必要だ。
 学級崩壊の時はつらい。しかし、それを克服すると教師は成長する。大切なことを学ぶからだ。大学では学べなかった本当の教師の資格を手にするのである。
 「何とかしたい」と思う教師は、本屋に向かう。そこでショックを受ける本に出会う。共通した現象である。本当の前進は、その時から始まるのである。学ぶ教師はとにかく本を買う。本をどれだけ買うかは、教師の知性・実力のバロメーターである。
 学ばない教師、授業がへたな教師には学級崩壊の影がいつもつきまとっている。いつ、ドカーンとくるかわからないのである。
 学級崩壊した後のクラスを受け持っても、すぐれた教師は最初から「崩れ」を見逃さない。次々と手をうっていく。
 学級崩壊するクラスの担任には、共通したスタイルがある。授業がへたで、ひどい方法をよいと錯覚しているのである。
 教師は授業が仕事である。学級崩壊は授業から生まれる。それを克服するには、授業を改革するしかない。
 授業とは何なのか。いい授業とはどういうものなのか。それをわかって、実践すれば学級崩壊は解決する。よい授業こそ大切なのである。
 すぐれた授業ができるようになるには、最初はすぐれた授業のまね(追試)から始める。定石を学ぶわけである。追試すると自分の授業と違う手応えを感じる。そこから成長が始まる。だめな教師は、自分のやり方でやると我をはる。つまり、ずっと我流で押し通す。我流はレベルが低いに決まっている。
 プリントを使う教師は大体ひどい。腕は低いし、ひどいレベルの授業しかできないのである。プリント授業は混乱と低学力をもたらす。いい教師は教科書を上手に使う教師だ。上手とは、テンポがよくリズムがいいことだ。30秒以上の長い説明をしない、短い言葉で何度も力強くほめることだ。
 「全員がそろってから授業を始めるべきだ」というのは俗説だ。それにとらわれると、授業の開始は五分は遅れる。しかもクラスはダラける。すぐ始めればいいのだ。最初の三秒から子どもが、やらなくてはならない状況をつくればいいのである。
 授業がへたな教師は授業の最初からへただ。最初の三分間をきちんとすれば、子どもはあっという間に変化する。
 教師は時として毅然とした態度をとらなくてはならない。悪いことを叱ることも大切なのである。「どなる」のではない。「叱る」のである。
 子どもは、最初から荒れるのではない。最初は小さなアドバルーンを上げる。未熟な教師はアドバルーンを見逃すのである。
(
向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)

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