子どもを良くするのも悪くするのも親しだい、親が変わると子どもも変わる
「子どもは親しだい」といわれる。問題行動を起こす子どもたち、親に手をあげる子どもたち、そうなった原因は全てといっていいぐらい親にある。親の教育が行き届かなかったから道をはずしてしまったのである。
親は子どもに対して思いやりを十分持って接し、そこに愛情があったのだろうか? 愛情が足りないと、厳しくされた子どもは心を閉ざしてしまう。お金やものをあげることが親の愛情のつもりでも、子どもにさみしい思いをさせてしまっている場合がある。
子どもが家の中で暴れまわるのは親に対する復習である。子どもがしたいことをしているのではなく親が困ることをしているに過ぎないのだ。子どもは親をよく見ていて、何をすれば親が一番困るかということはよくわかっているのだ。
私に相談に来る親が、自分が間違って育ててしまったことに対して、素直に認める人間になることが第一だ。
きつい言い方かもしれないが、親が施した子どもの教育が間違っていたと認識しなくてはならない。そうでないと今後も同じことが繰り返されていってしまう。認めさえすれば再度スタートラインに立ち、違った気持ちで子どもと接点を持つことができる。
簡単に言えば、親が反省するということである。とても重い意味を持つ言葉である。素直に認めず「私は悪くない」と他人のせいにしていれば、いつまでたっても子どもの本心は見えない。
親の気持ちが子どもに通じて初めて子どもに変化が現われるのだから、親がまず考え方を変えなければならない。子どもを何とかしよう、何とかして立ち直らせようと思ったときからよくなる可能性はいくらでも出てくるのである。
「お父さん、お母さん、しっかりしろ」と言いたい。親の気持ち、考え方、対応の仕方で子どもは立ち直るのである。子どものちょっとした変化に気づいたとき、ちゃんと向き合って話をすればいいのだ。
子どもと真剣に向き合うために親は自分を変えよう。親の性格は変えられないが、親の生活だったら変えられる。親が生活で怠っていることに厳しさを持って徹底して改善することである。そうすれば子どもに変化が見られるようになるはずだ。子どもは親の変化を肌で感じるもので、ちょっとしたことが立ち直るきっかけになるものだ。
子どもがこうならないと世間に恥ずかしいとか親が困るというプライドをもっているなら捨てなさい。親の生き方と子どもの生き方は違って当然、その子どもにあった生き方がある。それを親の望む方向に無理に進めようとしたりするのは親のエゴである。
子どもにとって頼りになるのは親しかいない。その親がしっかりしないことにはどうにもならない。親が子どもとどう向き合い、どう接していくかによって、その子どもの人生が決まってくるといっても過言ではない。子どもは親の良い面も悪い面も真似ることからスタートする。だから親としては悪い面があれば正さなければならない。
子どもがわかろうとしない、聴く耳をもたないことを教えるには、まず子どもが素直に聴くことができ、共感がもてる話から始めること。絶対にあせってはいけない。私が見ていると親は回り道をすることが嫌いで直接的にしか言わない。それは改めるべきである。
私は社会常識の話を子どもにしている。手を変え、品を変え、同じことを同じ話だと思われないように一生懸命考えて、子どもたちが飽きないように話をしている。
子どもは誰かが手を打たなければ良くならない。「いつか良くなるだろう」というのは通用しない。私のところに相談にくる親の多くは「まだ大丈夫、もう少し様子を見よう」と甘く考えて時が過ぎてしまって、にっちもさっちもいかない状態になってからくる。
脱線した子どもは親に対して「こうなったのはお前のせい」という決まり文句を言う。子どもはこういう自分に作り上げられてしまったことに対する仕返しが、この言葉によく現われている。
何もせず迷っているだけでは、親はマイナス思考になってしまう。手をこまねいているうちに問題が複雑になり、子どもをダメにしてしまう。他人に相談するのが恥ずかしいと思わず、早く相談すべきである。
だから親が気がついた時点で、親の責任であることを認識し、解決策を練り、一歩でも明るい方向に向かうよう全力投球しなければならない。自分でどうしていいかわからなければ、知人なり専門家に相談して、前に進む体制をとってもらいたい。私たちができるのは立ち直るきっかけを与えることである。やるのは子ども自身なのだ。
今の子どもは外面がよく、家の中ではメチャクチャをやっているという特徴がある。家庭内暴力だけ直したいのであれば、怖い人を連れてきて、「家庭内暴力をしたら、ぶっとばすぞ」と、脅せば、おとなしい子どもではあれば一発だ。
家庭の中で子どもが暴れまくっていれば、まずそれを何とかしなければという願いはわかるのだが、それでは根本的に問題を解決することはできない。
そういう表面的なものは、永遠に堂々巡りを繰り返すだけだ。親はまず表面的なものの見方をやめなさいと言いたい。親が子どもことよりも自分の身のことを心配しているから表面的なものしか見えてこないのである。
このような子どもに世の中の常識を教えるには、子どもに社会に所属したいという希望を持たせることをまず始めにする。私はいつ死んでもいいという覚悟でやっている。今できることを精いっぱいやろうという常にプラス思考で考えている。
親は自分のかわいい子どもなんだから、腹をくくりなさい。そうすれば必ず子どもの本質が見えてくる。
私に相談に来る親は、自分の子どもが何を考えているかわからないと言って、何もしていない方が多い。私に言わせればただの言い訳にしか聞こえない。逆の発想をして、何かをすれば、その結果、そこから子どもが何を考えているのかが見えてくるということである。
子どもがおかしくなってしまうと、親は全然ものが見えなくなってしまうものなのだ。最初は常識で判断しておかしいと思っていたことが、感覚がマヒしおかしくなってしまうのだ。常識で判断できる時点で対策を考えるようにするしかない。子どもに直接注意するのもいいし、他人に相談して何かいいヒントをもらって実行してみてもいい。問題が起きていないから、まだ大丈夫だと妥協することだけはやめなさい。
私は言いたい。親の愛情不足になっている家庭が数多く存在する。今、自分の子どもは? と疑問を抱いたならば、遅くはない。親は子どもを生まれたばかりの赤ん坊のように接してあげなさい。幼いころ子どもを抱いてあげたように子どもに愛情を注いであげなさい。あなたの心を子どもに入れてあげるだけでよいのです。
悪い部分を直すことより、愛情を注ぐことが先である。心が開いてから真の教育が始まるのである。今持っている全てを失うことになっても子どもに立ち直ってほしいと心底思える親になってほしい。
立ち直る子どものほとんどの親が「子どもに立ち直ってほしい。そのためだったら、できることは何でもする」という強い信念を持っている。子どもを良くするのも悪くするのも親の気持ちしだいなのだ。
(伴 茂樹:心理カウンセラー。不登校、引きこもり、家庭内暴力などを解決するために、全国から青少年を預かり、私塾を40年以上営む。教育の中にゴルフを取り入れるというユニークな方法で、立ち直らせた子どもは1000人以上という実績を持つ。青少年育成クラブで子供たちの教育指導を行っている。講演、TV出演多数)
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