保護者の理不尽な要求で教師は疲弊し、法的アドバイスが渇望されている、どうすればよいか
最近は「わが子を教育しなければならない第一次責任者は親である」という意識が薄れ、親としての自らの責任を棚上げして何でも学校や教師に要求するという事態が増加してきました。
そのために教師は、深夜まで対応することが希ではなくなり、理不尽な要求に対する対応に追われて疲弊し、退職者や休職者が続出することになりました。
従来は学校で問題が起こると、現在の学校での実態を知らないため、世間も弁護士も学校を責めることしか、してこなかったきらいがあるように思います。
学校や教師に問題があることも多いが、明らかに保護者に非がある例も多くあり、学校や教師を責めるだけでは解決しないように思われます。
いじめなど悪いことをして叱られた子どもの親が、教師に「自分の子どもがそんなことをするはずがない。子どもの心に傷をつけた。子どもに土下座して謝れ」といった例も多々見受けられます。これでは、子どもを叱った教師の面子が丸つぶれです。その結果、心を病んで退職するベテラン教師も後を絶ちません。
加えて、学校や教師への要望は驚くほど多く、これに全て応えると学校や教師は疲弊します。学校や教師の物理的、精神的負担を軽減できないだろうかという思いもあります。
学級崩壊やいじめ問題をはじめとした諸問題の解決を図るうえにおいても、教師が疲弊している現状を改めることは一つの重要な課題であると思われます。
学校の現場からは、弁護士からの法的アドバイスを得られるシステムが渇望されています。疎いところの法律知識を得られると共に、弁護士の意見を聞くことによって後ろ盾を得、理想の教師像(注1)の行き過ぎた呪縛から解放されて自信を持った対応ができるからです。
もはや各学校に一人の相談弁護士を配置することが不可欠です。行政の予算措置の要求を含めて弁護士会をはじめとして国民が取り組むべき最重要課題の一つであると思います。
具体的な事例については、教師の法的義務の有無、具体的対処法に言及した学校現場の実践的なマニュアル本(注2)が販売されています。学校現場において、これらの事例の解説を読み、熟慮し認識を共有することが重要であると思われます。
(近畿弁護士会連合会 民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会)
(注1) 理想の教師像:例えば「教師は子どものためには私生活の犠牲も厭うべきでない」「24時間常に教育者である」「子どもや保護者には悪い人はいない、必ず話せば分かる」というものです。
(注2) 「事例解説 教育対象暴力―教育現場でのクレーム対応―」近畿弁護士会連合会民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会 (編集) ぎょうせい 2015年
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