小学4年生~中学生をキズつけずに伸ばす、効果的な男女別の叱り方とは
1 男の子
(1)小学4~6年生
小学生の時期は、勉強や趣味などの目標に向かって努力する「勤勉性」を獲得すべきと言われます。自己肯定的で目標達成水準を高く持てることも大事です。親や友人からの評価が大きく関わります。
ダメだとか、できないといった劣等感に結びつくような叱り方ではなく、この部分はよかったなどと、本人を認めたり励ましたりすることをまず考えてやりたい。
男の子同士で集団を作ることが多くなり、行動範囲も広がるにつれて、他人をも交えたトラブルも起きます。仲間に受け入れられ、認められることをとても重視します。この中で、行動の基準や対人技術、他者を思いやる気持ちなども発達します。友だちだけでなく、周囲にさまざまな年齢の人がいる場や機会を多く作りましょう。
善悪などの判断で結果の善し悪しで見ることから、動機を重視したものへと発達していきます。そのためにも、悪かった結果だけを叱るのではなく、理由や動機を説明させたり、どうすればよかったのかを子どもに考えさせるようにしましょう。
(2)中学生
心身の不安定さからイライラしたり、反抗したり、当たったりといったことが出てきます。子どものイライラには、思春期特有の理由なき反抗もあります。このとき、しっかりとした受け手になることです。そこを踏み台にして子どもは自立していきます。
受け手になるのはつらいものですが、子どもに振り回されないようにします。オロオロしたり、あれこれかまっていても、子どもは不安定になるだけです。
言葉で叱って抑えるよりも、スポーツや趣味などで、そのイライラ感をどう違う方向へ持っていくかを考えてあげましょう。子どもの得意分野や個性を認めてやることも大事です。
親密な友人を作る時期ですが、その仲間から排斥されることをとても恐れます。仲間を優先させようとします。
論理的・抽象的思考も可能になりますが、現実味に乏しかったりします。子どもの言い分を入れながら、譲れるところと、そうでないところを明確にしていきましょう。成長とともに、譲る部分を多くしていきます。
2 女の子
(1)小学4~6年生
女の子の場合も、勉強や趣味などの目標に向かって努力する勤勉性を獲得することが課題です。これが持てないと劣等感が強くなってしまいます。自己肯定的で目標や達成水準を高く持てるような自己意識を作れるよう援助しましょう。
ダメだとかできないといった叱り方ではなく、よかった部分を認めたり、励ましたりすることを第一にしましょう。親からの評価の影響はやはり大きいのです。
女の子の集団は小さいので、人間関係も密になり敏感にもなるようです。しかし、そこで起きるトラブルも、道徳性などを発達させるよい機会です。結果の善し悪しではなく、動機を重視した、相対的な判断ができるよう援助しましょう。
悪かった結果を叱るだけでなく、行為の理由や動機を説明させたりなど、子どもに考えさせよう。論理的思考も進む時期です。
仲間に受け入れられ、認められることをとても気にする時期です。この中で、自己意識や行動の基準、対人技術、他者を思いやる気持ちなどが発達します。友だちだけでなく、周囲にモデルとなるような人が多くいたほうが柔軟に育ちます。
女の子だからといった性役割を意識させない叱り方も大事です。
(2)中学生
性的成熟とともに心身が不安定になりムッとしたり、泣きわめいたり、イライラし反抗したりといったことが出てきます。本人自身も理由がよくわからないので、叱っても、反発するだけです。母親にとっては覚えのある感覚なので理解してあげましょう。
落ち着くまで気分を変えたり、スポーツや趣味など興味がありそうなものを勧めたりしましょう。回り道のほうがいいこともあるのです。
親密な友人を作る時期ですが、その仲間から排斥されることをとても恐れます。仲間を優先させようとします。家や親への批判も多くなりますが、批判のための批判だったりします。
子どもの言い分を入れながら、譲れるところと、そうでないところを明確にしていきましょう。成長とともに、譲る部分を多くしていきます。
思春期特有の理由なき反抗も自立のための大事な発達です。反抗しても親がしっかり、受け手でいてくれるからこそ、子どもは安心して自立し離れていけます。
叱ったり、オロオロしたり、あれこれ心配したりすることが「離れないで」という親からのメッセージと映ることもあります。親が子どもを心配しているようで、実は親が子どもに寄りかかっているということもあるのです。子育てはほんとうに難しいと思います。
(石川洋子:仙台市生まれ、日本女子大学大学院修了、東京成徳短期大学専任講師、文教大学教授。子育て支援、母親支援がライフワーク)
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