« 担任が保護者を説得したり、謝らねばならないとき、どうすればよいか | トップページ | 問題児と言われるようなボスがいる荒れたクラスは、どのようにすればよいか »

叱り方のコツや極意とは何か

 叱り方にもコツや極意がある。「親の言うことを聞かない子が、なぜ池上先生の言うことを聞くのですか」という質問を受けたとき、私はこのように答えている。
 
「私はどんな子どもでも、その子の良いところしか目に入らないんです。どの子も素晴らしい何かを必ず秘めています。どの子も実は素晴らしい良い子なのです。ただ、その良いところが隠れていて、なかなか他の人の目には見えにくいだけなんです」
 私はどんなにワルと言われている子でも、まずはその子を認めるところから始める。そして、どんなに小さくても何か一つでも良いことができたら、とにかくほめる。周囲の人が「オーバーなんじゃないか」というほど、気持ちをこめてほめる
 例えば、ABCが書けなかった子が書けるようになったら「パチ、パチ、パチ、パチ」と思いっきり拍手してあげる。そして「良かったね、○○くん。ずーっと書けなかったABCがこんな短い時間で書けるようになったね。すごい成長だよ。先生うれしかったよ」と、心からほめてあげる。
 子どもはほめてくれる人の言うことはよく聞くものだ。私が思いっきりほめてあげると「池上先生、オレこんなにほめられたの初めて。勉強って楽しいんだね」と、子どものほうが感動してくれる。こうなれば、放っておいても一生懸命に勉強するようになる。
 その逆が、最初から叱ってしまうことだ。「何で中3になってもABCが書けないの。いままで何も勉強してこなかったの。サボってばかりしていたんだろ」といきなり注意から始まる。
 マイナスのことばかりを言ってしまうのでは、勉強する気になるはずがない。ましてや、自分に対してマイナスのことを言う大人だと認識してしまうので、以降、言うことを聞かなくなってしまう。
 それでも子どもがしぶしぶABCを練習する。しかし、なかなか覚えられない。すると「どうしてこんな簡単なことが覚えられない。やる気がないのか」と、すぐに怒る教師がいる。これでは絶対に子どもは言うことを聞かなくなる。
 まずは子どもをほめること。怒ることから始めてはいけない。10の時間があれば、子どもをほめることに9の時間を使うべきだ。そして、残る1の時間は子どもへの注意に使うべきだ。
 注意する時間と叱る時間は、できるだけ少ないほうが良い。ほめて、ほめて、ほめる。たまにどうしても注意しなければいけないことを注意する。また、ほめて、ほめて、ほめるべきなのだ。注意はほめることと、ほめることの間にサンドイッチすべきなのだ。
 子どもはいつも自分をほめてくれる大人が大好きなのだ。大好きな大人の注意ならば素直に言うことを聞く。「いつもほめてくれる人の言うことは聞く」が子どもの大原則なのだ。
 だが、この大原則には一つだけ条件がある。「子どもがその大人を甘く見ていないこと」である。「いくらほめてくれても、こんな大したことのない、大人の言うことなんか聞いてられないよ」と、子どもが思ってしまっては、ほめても意味がなくなってしまう。
 では、どうすると子どもは大人を甘く見るのだろうか。
 それは、親が子どものわがままを許している場合である。「これ買って」「ダメよ」という親子のやりとりが何度か繰り返されたあと、結局、子どものわがままを聞いて、ほしがる物を買ってやる。
 これでは叱ったことにならない。これでは躾にならない。ほめることが大事と言っても、注意することも叱ることも必要なのである。
 もう一つが、母親が父親の悪口を子どもの前で言っているケースである。
 子どもに言うことを聞かせたいと思うなら、子どもの前では決して父親の悪口を言わないこと。父親に威厳を持たせることだ。そのためには母親は父親に敬語で話せばよい。朝は「おはようございます」、帰りは「お帰りなさい。お疲れさまでした」が良い。
 
母親が父親を敬う姿を見て、子どもは親の威厳を知る。親の権威がなくなっている場合、いくらほめてもうまくはいかない。
 昔の日本の家庭では全員が目上の人に敬語を使うのがあたりまえであった。そのあたりまえが崩れているのが諸悪の根源なのだ。ぜひとも、目上の人に敬語を使うようにしてほしい。そうすれば大人の威厳が復活し、家庭の問題は改善するであろう。
 叱り方の極意はもう一つある。「決してしつこく叱らない」ことだ。叱る時は、その場でビシッと叱り、あとはぶり返して叱らない。
 叱り方のコツや極意は
(1)
ほめる、叱る、ほめるのサンドウッイチ
(2)
ダメなことは絶対させない
(3)
決してしつこく叱らない
 何度も言うが「いつもほめてくれる人の言うことはよく聞く」が大原則なのだ。だが、威厳がなくなっている場合、いくらほめてもうまくはいかない。
(
池上公介:、1940年北海道札幌生まれ、学校および予備校経営者。学校法人池上学園理事長等、専門分野は英語教育)

|

« 担任が保護者を説得したり、謝らねばならないとき、どうすればよいか | トップページ | 問題児と言われるようなボスがいる荒れたクラスは、どのようにすればよいか »

叱る・ほめる・しつける」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 叱り方のコツや極意とは何か:

« 担任が保護者を説得したり、謝らねばならないとき、どうすればよいか | トップページ | 問題児と言われるようなボスがいる荒れたクラスは、どのようにすればよいか »