学級のトラブルを解決する原理原則とは何か
子どもたちはトラブルを起こしながら成長していく。私は、このようなトラブルを解決していくためには、次の三つの原理原則があると考えている。
1 タイミングを逃さない
「○○ちゃんが・・・・・している」と子どもからの訴えがあったときは、すでに事態が進行し、子どもたちだけでは解決できない段階に来てしまっているのである。だから「子どもからの訴えにはその場で対応する」ことが必要である。
授業中であったり、いろんな雑務に追われたりするかもしれない。しかし、このタイミングを逃がすと後が大変である。交通事故の標語ではないが「注意一秒ケガ一生」である。
2 周りの子どもたちを味方に付ける
例えば、掃除をサボって掃除をしない子どもがいる。「○○くん、きちんと掃除をしなさい」と1回目、2回目はその○○くんに注意をした。しかし、3回目はそういうわけにはいかない。
そこで、掃除グループの残りのメンバーと相談して「明日、○○くん一人で掃除をしてもらうようにしょう」ということになった。
そして次の日、全員を集まったところで、○○くんに「掃除をサボっているという話を聞きましたが本当ですか」と聞いた。すると「はい」と答えた。
私は「わかりました。じゃあ、全員に聞きます。グループとして、このように掃除をサボるのは悪いと思う人、手をあげなさい」と聞いた。全員が手を挙げる。
さらに「このようにサボっている人を見たら、グループとして許せない人、手を挙げなさい」と聞くと、全員が手を挙げる。
さらに続ける。「そんな人には、たまには、一人で掃除をしてほしいと思う人、手を挙げなさい」と言う。ここでも全員が手を挙げる。これで、グループ全員が味方になっている。
そして最後「○○くんには、一人で掃除をしてほしいなぁ、と思う人、手を挙げなさい」渋々ではあるが○○くんは、周りの言うことに耳を貸さざるを得なかった。黙々と掃除をしたのはいうまでもない。
3 保護者には頻繁に連絡を取る
何か起こったとき、必ず保護者が関係してくる。そして問題がこじれてくるのは、たいてい保護者との連絡がうまくいかないときである。
私自身、何度も失敗している。「一区切りついたら連絡しよう」と思って、子どもに指導する。ところが、子どもたちの言っていることがはっきりしなかったり、話にズレがあったりして、それで連絡が遅れ「○○の話はどうなっているのですか?」と電話がかかってきたりする。「今、ちっと指導中で・・・・・」と歯切れが悪い。よけいに保護者の感情を逆立てることになる。
そうならないためには、とりあえず「今日、△さんに・・・・・・のようなことがあったようです。まだ、ハッキリと事実がつかめていませんので、また連絡いたします」と、まず電話を一本入れることである。
そして、できるだけ長引かないように、できればその場で事実確認をして解決していくことである。そして、再度、保護者に連絡を入れる。大したことがなければ電話でいい。場合によっては家庭訪問した方がいいだろう。
長引きそうな場合は要注意。とにかく、最低一日一回は連絡を取ることである。頻繁に連絡を取ることによって、保護者の信頼を得て、トラブルの解決に向かっていくのである。私は、これを怠ったがために、信頼を失い、保護者から何の情報も入らなくなったことがある。
トラブルが解決した後も、何度か連絡を取り、その後の様子をうかがうことも忘れてはならない。そうすれば、その後のトラブル解決は早くなっていく。
(平田 淳:京都教育大学附属小学校教師)
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